血圧の薬で、カルシウム拮抗薬(アダラートなど)を服用している人は、
グレープフルーツジュースを飲まないようにと指導を受ける。
これは、グレープフルーツに含まれるフラボノイド(ナリンジンとも言われるが、
他にも可能性を指摘されているものがあり定かではないらしい)
ヒトの肝臓に存在する「チトクロームP450」という酵素の働きを
阻害するためである。
チトクロームP450は薬物を代謝する酵素で、
これが阻害された状態で、この代謝を受ける薬物をのむと、
代謝を受けなくなってしまう。
すると、血液中の薬物濃度がいつまでも下がらないばかりか、
有効な濃度を超えてしまう場合が生じ、副作用が強く出てしまう。
薬物の血中濃度は高すぎても低すぎてもいけない。
このカルシウム拮抗薬の場合だと、
血圧が下がりすぎてしまうことになる。
最初にグレープフルーツジュースと書いたが、
昔は果皮の白い部分に含まれているものが阻害するらしいということで
ジュースを作る際に、どうしてもこの部分が混入してしまうため、
ジュースを飲まないようにと説明していた。
しかし最近では、どうやらグレープフルーツそのものも
だめということになったらしい。
このグレープフルーツに関する記事を新聞で見つけた。
グレープフルーツの薬物代謝阻害作用は数日間続くと、スイスのウィンターツール病院の薬剤師であるフリードリヒ・メル博士が「心身医学および心理社会学生涯教育シンポジウム」で報告した。
特に、HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン系の高脂血症治療薬=メバロチンなど)の代謝に大きな影響を及ぼすため、グレープフルーツを多めに取ると、薬物の血中濃度は12倍にも上昇することがある。
グレープフルーツは、葉酸がたくさん含まれているので、
体にはとても良いのだが、
こういった薬をずっと服用している人は、要注意である。