鼻からの匂いと、口からの匂いは、脳の中の違う領域で認識されるらしいと、今週のニューロンという雑誌で報告された。
米国のエール大学のチームと、ドイツのドレスデン大学のチームによる研究である。まず、チョコレートの匂いが、鼻から通したとき(orthonasal)と、口から通したとき(retoronasal)で、脳の異なる領域が活性化することがわかった。
食物の匂いは、同時に口と鼻から入ってくるが、食物でないものは、通常鼻から入ってくる。そのため、食物とそうでないものとで、脳に伝わる経路が異なる可能性があるとした。
そこで4種類の香りで実験を行った。
チョコレート、ラベンダー、ブタノール、ファルネソールを用いた。ブタノールとファルネソールは、化学物質である。ブタノールは水溶性、ファルネソールは脂溶性で、嗅覚システムがこれらの匂い分子を区別するかどうか調べた。
ブタノールとファルネソールに関しては、鼻を通したときも、口を通したときも、特に脳の反応に違いはみられなかった。このことは、匂い分子の特定の性質の影響を受けないことを示す。
チョコレートに関しては、際立った影響が見られ、脳の異なった領域を活性化した。それに対して、ラベンダーでは異なった領域を活性化したものの、それほど大きなものではなかった。食べるということが、脳に大きく影響を与えたものであるとした。
この研究では、食物としてチョコレート1種類のみでしか行わなかったので、他の食物でも同じような結果が出るかどうか調べる必要があるとしている。(HealthDay - 8月19日)
今回は思い切り要約した。
匂いを嗅ぐという行為が、鼻からだけでなく、
口からも、というのがおもしろいと思った。
また脳における匂いの認識が、
鼻からか口からかという匂いのルートによって、
異なる領域で行われているというのが、不思議なメカニズムである。
わざわざ異なる場所で、というのは、何か意味があるのかもしれない。