セレンのサプリメントを摂取すると、時間の経過とともに、2型糖尿病になる傾向があるかもしれないということが、新しい研究で分かった。 この研究は、the Annals of Internal Medicineの事前のオンライン版で発表されたが、セレンのサプリメントが2型糖尿病を引き起こすということを証明していない。 しかし、研究者たちはセレンのサプリメントが2型糖尿病を予防するように思えず、「病気のリスクを増加させるかもしれない」と記述している。 セレンは、土や植物に含まれているミネラルである。 体は、少量のセレンを必要とする。セレンが非常に多いと、胃の不調や、脱毛、爪の病気、神経の損傷などの健康上の問題を引き起こすことがある。 この新しい研究は、バッファローのニューヨーク州立大学でしばらくこの研究に携わったSaverio Stranges, MD, PhDを含む研究者たちが行った。Stranges氏は現在、英国のワーウィック医科大学で働いている。 ・セレンと2型糖尿病 Stranges氏のチームは、ガン予防の研究に登録されている約1,200人の米国成人に関するデータを調べた。 被験者は平均63歳だった。彼らは、セレンの濃度が低い土のある地域に住んでいた。 被験者はみな、すでに非メラノーマ皮膚癌だった。しかし、研究開始時に、2型糖尿病に罹っていると報告した人はいなかった。 この研究は、主にセレンと癌に焦点を合わせた。動物実験でセレンのサプリメントが2型糖尿病を予防するのに役立つかもしれないということが分かり、研究者たちも2型糖尿病の新しい症例を追った。 ・セレンサプリメントの研究 研究者たちは、ランダムに被験者を2つのグループに分けた。 1つのグループは、セレンのサプリメントを1日に200マイクログラム摂取するよう割り当てた。 それは、医学研究所が男性や妊娠授乳していない女性に対して勧める1日当たりのセレニウム摂取量55マイクログラムより高い。しかし、それは医学研究所の上限である1日当たりセレン400マイクログラムより低い。 比較として別のグループは、セレンを含有していない偽薬の錠剤を摂取した。被験者は、自分がセレンのサプリメントをのんでいるのか偽薬をのんでいるのか知らなかった。 被験者は平均で約8年間追跡調査を行われた。その間、彼らはどんな新しい糖尿病の診断も報告し、セレンの血中濃度を1年に2回チェックした。 ・セレン研究の結果 この研究の間に、セレングループの58人の被験者が2型糖尿病と診断されたと報告し、それと比較して偽薬をのんでいる人は39人だった。 研究者が被験者の年齢、性別、BMI(身長を体重と関連づける肥満度指数)と喫煙の習慣を考慮すると、2型糖尿病とセレンサプリメントの関係の可能性はあった。 しかし、被験者のグループは非常に狭い範囲(非メラノーマ皮膚癌の病歴のある高齢者たち)で、 この研究は糖尿病を考慮して設計されていなかった。そのため、セレンサプリメントが本当に糖尿病のリスクを増加させるかどうか調べるために更なる研究が必要であると、研究者たちは述べる。 ・セレンの研究の論説 Stranges氏の研究は、Johns Hopkins University Bloomberg School of Public HealthのJoachim Bleys, MD, MPHなどの医師たちによって、論説が添付されている。 論説委員たちは、肥満及び身体活動の不足が糖尿病の主要な原因であると述べる。彼らはまた、米国の大部分の人が食事からセレンを充分摂取していると指摘する。 「食事で充分摂取した上にセレンのサプリメントをのむことによって、糖尿病のリスクを増すかもしれません」と、Bleys氏らは記述している。 それはこの点では理論にすぎないが、その理論は「生物学上もっともらしいかもしれません」と、論説委員は述べる。 (WebMD - 2007年7月9日)
糖尿病があると、パーキンソン病発症のリスクが高い。 フィンランドの研究によると、2型糖尿病の人々が後にパーキンソン病と診断される傾向が、他の人たちよりも80%も高かったことが分かった。 このことは、糖尿病がパーキンソン病(筋肉硬直や震戦を引き起こす進行性の病気)の危険因子であることを示唆する最初で、将来に向けての重要な研究である。 糖尿病やパーキンソン病の間の関係の確かな性質は明らかでないが、肥満や喫煙、身体活動の欠乏など、いくつかのライフスタイルの因子が両方の病気に関連性があるかもしれないと、研究者たちは話す。 「それは糖尿病が体重が多すぎて、パーキンソン病のリスクを部分的に高めるかもしれないと仮定される」と、フィンランドのthe National Public Health InstituteのGang Hu, MD, PhDや糖尿病ケアの同僚たちは記述している。 ・糖尿病はパーキンソン病のリスクを高める この研究で、フィンランドで18年以上にわたって、5万人以上の男女のグループで追跡調査を行った。この間、324人の男性と309人の女性がパーキンソン病を発症した。 この研究の開始時に2型糖尿病だった人々は、パーキンソン病と後に診断される傾向があることが分かった。 パーキンソン病に対する他の可能な危険因子を調整してからでも、全体的に2型糖尿病の男女は、糖尿病でない人よりもパーキンソン病を発症する傾向が83%高かった。 一般的なライフスタイルの因子が役割を果たしているかもしれないものの、糖尿病とパーキンソン病の間の関係を完全に理解するために、さらに研究を行う必要があるとしている。 (WebMD - 2007年3月28日)
高い血糖値を有する女性の、がんになるリスクが増加していることが、ヨーロッパの研究で分かった。 糖尿病は砂糖の多い食物を非常にたくさん食べることで、高血糖を引き起こす。 スウェーデンの研究で、6万4,500人の人を調べたところ、女性では血糖が高くなることと、膵臓や皮膚、子宮、尿路のがんと関連性があった。 糖尿病の専門家は、この関連性を確認するためにもっと多くの証拠が必要であると話す。他の研究には、高脂肪食が乳がんのリスクの増加と関連があるというものがある。 ・脂肪性の食事が乳がんと関連している この研究はウメア大学のチームによって行われ、高血糖は(49歳未満の女性で)乳がんのリスクと関連性があった。 全体として、空腹時血糖値の上位25%の女性は、下位25%の女性よりもがんを発症する機会が26%高かった。 この研究はthe Vasterbotten Intervention Projectという、スウェーデンの主要な健康調査の一部である。 研究に参加してもらった被験者は1980年代の半ばに40歳、50歳、60歳だった人である。 空腹時血糖値と同様に、グルコース液を摂ってから血中の糖の量(グルコース負荷試験)も測定された。全部で、研究は13年間にわたった。 研究の期間、2,478件のがんの症例が特定された。 この研究ではまた、年齢が上がるにつれ値が高くなるhyperglycaemia(異常に高い血糖値)の明らかな証拠を見つけた。 ・生活様式の変化 Par Stattin博士によって導かれた研究者は話す。「総合的に異常なグルコース代謝は、男性ではなく女性において、がんのリスクが統計的に非常に増加することと関連していました」 男性では、上昇した血糖値は、それほどの程度ではないにしても、前立腺がんに対して保護するようにみえた。 この研究は一部World Cancer Research Fund(WCRF)によって支払われた。 Greg Martin博士(WCRF UKの科学及び研究のマネージャー)は次のように話す。 「この研究の結果は重要です。 けれども、女性たちが血糖値が高過ぎて、この事実に気づいているなら、ライフスタイルを変えようと、より動機づけられるので重要です。 そして朗報は、果物や野菜を健康的にバランスよくたくさん摂って、健康的な体重を維持することで、血糖値を下げることが可能であるということです。 こういった健康なライフスタイルで最大40%のがんを防ぐことができることが分かっているので、このことはまさに、人々が大きな違いを作るためにできる小さな変化を作る理由です」 ・血液検査 これまでの研究で、2型糖尿病の患者のがんのリスクが増加することがわかっている。 しかしこの新しい研究では、血糖値が上昇してない時にでも、女性でがんのリスクが高くなることがわかった。 Natasha Marsland氏(the charity Diabetes UKのケアマネージャー)は話す。「これは興味深い研究です。けれども、高い血糖値とがんとの間に関連性があるかどうか結論づける前に、さらに研究を行う必要があります。 医師のところで簡単な血液検査をするのが、血糖値が高いかどうか調べるのに最も良い方法です。高血糖値が糖尿病を示しますが、いつもそうであるというわけではありません。 もしある人が白人で40歳以上、あるいは25歳以上で黒人か南アジアがバックグラウンドで、家系に2型糖尿病か肥満の人がいるなら、糖尿病かどうか調べるために医師に簡単な血液検査をしてもらうことを考えるべきです」 (BBC - 2007年3月21日)
毎晩充分眠らなかったり、寝すぎたりすると、他の要素のいかんに関わらず、インスリン非依存性(2型)糖尿病を発症するリスクが増加するかもしれないという。 研究者たちは、Diabetes Careの3月号で「睡眠持続時間は、臨床的な糖尿病の発症の目新しい危険因子であるかもしれません」と結論づける。 コネチカット州ニュー・ヘイヴンにあるエール大学のHenry Klar Yaggi博士と2人の同僚たちは、1987〜1989年に糖尿病でなかった1,100人以上の中年以降の男性で、糖尿病の発症における睡眠持続時間の影響を、15年という長期にわたり、2004年まで研究を行った。 1晩に6時間未満の睡眠を取る男性は、8時間以上目を閉じているのと同じであるが、毎晩7〜8時間睡眠を取る男性と比べて、糖尿病になるリスクが非常に高かった。 糖尿病のリスクは、毎晩7〜8時間眠る人に比べて、短時間の睡眠を報告する人で大体2倍高く、長時間睡眠を報告する人では3倍以上高かった。 「睡眠持続時間に関するこのUの形をするリスクの分散は、これまで、女性において冠状動脈性心臓病、すべての原因の死亡率、および糖尿病で報告されています」と、Yaggi氏はロイター・ヘルスに語った。 年齢や血圧、喫煙状態、ウエストの周りなど、いくつかの要素に対する調整をしても、睡眠時間の短い人や長い人の高いリスクは「本質的に変わらず残っている」と、論文著者たちは話す。 しかしながら、テストテスロンに対して調整を行うと、相対的なリスクは「かなり」減少し、糖尿病における睡眠の効果が、このホルモンの体内濃度の変化を通して調節されうるということを、研究チームに示している。 (ロイター - 3月10日)
ワシントン大学によると、約2000万人のアメリカ人が糖尿病を患っていますが、うち半分は自覚がありません。 糖尿病のサインと症状は次のものを含みます。 ・頻繁な排尿。 ・常に喉が乾いているか、または空腹である。 ・しばしば疲れを感じる。 ・視力障害。 ・遅い創傷治癒。 ・尿路感染症の再発。 ・肥満。 また、糖尿病の家系の人はリスクが増加する。 もしあなたが糖尿病になるかもしれないと心配しているなら、医師に話してください。 また、自分のリスクのレベルを決定するために、スクリーニング試験を受けることができます。 (HealthDay News - 9月28日)
糖尿病の人々は、特に血圧が高いときには、腎臓に障害を起こす危険性が常にある。現在、ヨーロッパの研究者たちは、スピロノラクトンという薬の投与で、患者の血圧を正常になるよう下げ、血圧やアルブミン尿たんぱくの量(腎臓障害のものさし)を減らすと報告する。 デンマークのGentofteにあるSteno Diabetes CenterのKaspar Rossing博士は、医学雑誌Diabetes Careで2つのタイプの降圧薬(ACE阻害剤とアンジオテンシン受容体ブロッカー(ARBs))が、既に腎臓損害を持つ糖尿病患者において腎臓の保護効果を有すると述べる。 これらの薬物は、アルドステロンと呼ばれるホルモンの放出を制御することによって作用する。それらが初回効果のある間、40%くらいの患者でアルドステロンのレベルが再び上昇するかもしれない。これによって、腎機能において尿たんぱくのレベルが増加し、衰退が速くなる。 スピロノラクトンというアルデステロンの阻害剤で補助的に治療を行うことは、こういった状況で役に立つかもしれないとし、2型糖尿病の21人の患者で研究を行った。 被験者たちは、それぞれに合わせて処方された降圧剤治療(利尿剤、ACE阻害剤、ARBsを含む)を続け、8週間不活性な偽薬か、あるいはスピロノラクトンのどちらかを服薬するようにランダムに割り当てられた。それから、次の8週間にもう一方の薬に切り替えた。 スピロノラクトンによる治療の間、尿のアルブミン・レベルは33%下がり、彼らの血圧の上と下の値が、それぞれ6と4ポイント低くなった。 1人の患者のカリウムのレベルが低下して危険な状態になり、この研究を止めなければならなかったが、すぐに回復した。他の点では、治療はうまくいっていた。 さらに研究が必要であるが、短期で、スピロノラクトンが腎臓や心臓血管の保護に有益であるということが結論づけられた。 SOURCE: Diabetes Care, September 2005. (ロイター - 9月8日)
Yale School of Medicineの研究によると、すでにインスリン抵抗性を有する健康な若年成人では、インスリンの刺激でエネルギーを生産する速度が赤筋で非常に減少し、人生の終わりに糖尿病になるリスクが高いという。 内科、内分泌学の教授であり、この研究の責任者でもある、Gerald Shulman, M.D.による新しい研究は、効率的に砂糖や脂肪を燃やす能力の減少が、糖尿病の初期に重要な要因であることを示した。また、新しいデータは、基本的な欠陥がミトコンドリア内にあることを示している。ミトコンドリアは細胞の中にあるエネルギー工場で、生命を維持するのに必要な化学的なエネルギーの大部分を生産する。 研究チームによって、2型糖尿病の両親を持つ若年成人で研究が行われた。これは、リスクが引き継がれ、なおかつまだ糖尿病の症状が出てないうちに行うためである。研究者は、被験者の筋肉細胞内のミトコンドリアが、インスリン刺激に対する反応が不十分であることを観察した。正常なミトコンドリアは、エネルギーを運ぶ分子であるATPの生成を90%にまで高めることによってインスリンに対して反応をする。しかし、インスリンに抵抗のある人々のミトコンドリアでは、ATPの生成を5%高めただけである。 これらの研究結果から、インスリン抵抗性のある被験者の筋細胞内にリンを輸送するように刺激するインスリンの量が著しく減少したことがわかった。これはまた、インスリンの信号におけるひどい欠陥を示し、インスリン抵抗性を有する被験者たちの、インスリンの刺激によってできるエネルギーの生成において観察された異常について説明できるかもしれない。リンはミトコンドリアの複雑なエネルギー生成過程において鍵となる要素である。 (RxPG.News - 9月5日)
糖尿病の女性において、アディポネクチンと呼ばれるホルモンが、糖の調節に関連しているということが、研究でわかった。 アディポネクチンの血中濃度が高いと、HDLという「良い」コレステロールが増え、炎症を抑制するため、心臓病や脳卒中の危険を減少させるかもしれない。 これまでの報告では、アディポネクチンの量が少ないと、血栓ができる危険性が増し、糖尿病患者における「アテローム性動脈硬化症」を増加させるかもしれないということがわかった。しかし、アディポネクチンの量と、さまざまな新陳代謝のパラメーターとの複雑な絡みあいのため、完全な調査はされなかった。 ボストンのHarvard Medical SchoolのChristos S.Mantzoros博士らは、Nurses' Health Studyに登録された925人の糖尿病の女性で、アディポネクチンの量と、糖コントロール、コレステロールと炎症との関係を評価した。 研究結果は雑誌Clinical Endocrinology and Metabolismに掲載されている。 HDLコレステロール値と身体的活動レベルが上昇すると、アディポネクチンの量は増加した。 対照的に、体重や、LDLの「悪い」コレステロール、および様々な炎症性タンパク質が増加するに従って、アディポネクチンの量は低下した。 これらから、アディポネクチンは、アテローム性動脈硬化症を直接防ぐのに有効であることを示すと結論づけた。(ロイター - 8月18日)