呼吸器系や消化器系の感染症を引き起こすことが知られているウイルスのグループもまた、慢性疲労症候群(CFS)の大きな引き金かもしれないという。
新しく発表された研究で、5人のCFS患者のうちの4人は、胃組織生検において慢性エンテロウイルス感染症の症状を示し、それに比べ健康な人では5人のうち1人だけだった。 CDCによると、エンテロウイルスは非常に一般的で、ヒトで最も一般的なウイルス感染としての風邪ウイルスに次いで多い。エンテロウイルスに感染している人のほとんどには、まったく症状がない。 カリフォルニアの感染症の専門医John Chia, MDは、彼の研究結果がほとんどの患者の慢性疲労症候群の可能性のある原因として、ウイルスに慢性的に感染していることを示していると話す。 しかし、複雑な病気がそんなに簡単に説明されないだろうと、昔からのCFS研究者たちは言う。 CDCの慢性ウイルス疾患部門のJames Jones, MDは、広範囲にわたる研究にもかかわらず、活動性感染症の物質と慢性疲労症候群との間に、なんら因果関係は確立されなかったと述べる。 「これは多くの異なる起源による病気で、症状が感染症と類似しているため、その原因が感染症によるものであると仮定することは、大きな飛躍があります」と、Jones氏はWebMDに話す。 ・アメリカ人の2.5%は、CFSに罹っている。 この夏の初期に、慢性疲労症候群の罹患率はこれまで考えられていたよりも、米国で6〜10倍高いかもしれないと、CDCの研究者たちは報告した。 この病気の主な症状は、少なくとも6ヵ月続く激しい疲労(休んでも軽減されない)である。しかし、患者たちはまた、しばしば筋肉や関節の炎症、記憶や集中力の問題、うつ状態、睡眠障害、頭痛、のどの痛み、リンパ節の腫れや胃腸障害などを訴える。 カリフォルニア州トランスで医療を行っているChia氏は、彼の息子のAndrew氏が1997年に14歳でこの病気に罹ってすぐに慢性疲労症候群を研究し始めたと話す。 「彼が罹っているものを発見するために、1年かかりました」と、彼は述べる。 CFSの原因を見つけるための最初の努力は、ウイルスにフォーカスした。Jones氏は、伝染性単核球症(エプスタイン・バーウイルス)の原因ウイルスによる慢性感染が、この病気を説明するかもしれないということを示唆する最初のものだった。 しかし、CFS患者の血中にエプスタイン・バーなどのウイルスが存在し続ける証拠を発見することができず、Jones氏を含むほとんどの研究者たちはあらゆるところで原因を探している。 慢性疲労症候群の診断検査の不足も、多くの人が想像上の障害として却下されたが、CDCによる最近の研究などで、それが実存し一般的であるということを証明した。 ・CFSに導かれる他の症状 これまでの研究において、Chia氏は慢性感染症の所見をCFS患者の筋肉で発見したことを報告した。 新しい研究において、彼が内視鏡検査として知られている診断法(カメラ付きの長いチューブが口から胃に挿入され、組織の生検を行う)を行ったCFS患者から採取した胃組織に類似した証拠を探した。 165人のCFS患者とその病気のない34人の人からの検査サンプルで検査を行い、Chia氏は、CFS患者の82%と健康な人の20%で慢性感染症の可能性の形跡を発見した。 この調査結果は検証されなければならないが、CHia氏は彼らがエンテロウイルスの慢性感染の可能性との間に強い関係があることを示唆していると話す。 「胃における慢性感染症の発見は、脳、筋肉または心臓で類似した感染症を直接証明しないかもしれませんが、それはこの捉えどころのない病気の探求において、新しい方向を広げます」と、彼はClinical Pathology誌の最新のオンライン版で記述している。 具体的には、内視鏡検査が、抗ウイルス治療に対する追随反応と同様に、CFS患者におけるエンテロウイルス感染症の持続を確かめるのに比較的単純なテストであることが分かると、彼は話す。 米国慢性疲労及び免疫障害協会代表のKimberly McCleary氏は、CFSが予想より非常に複雑な病気であることが分かったと語る。 「CFSのすべての症例を説明するのに、たった1つのバグを見つける見込みはありません」と、彼女は話す。 彼女は、3つの全く異なる感染症が、12%の症例でCFSのような症状を起こすという、最近のオーストラリアの発見した研究を指摘する。 「感染性の因子と、その因子に対する(体の)反応が、引き金の働きをする可能性が大いにあります」と、彼女は話す。 (Web MD - 2007年9月13日)