交代制勤務者や、長い時間勤務の病院の職員、その他睡眠をとらずにがんばるアメリカ人は、いつか、睡眠不足でも完全に目覚めていられるようになるかもしれない。
ノースカロライナ州のWinston-Salemにある、Wake Forest大学の研
究者らは、CX717と呼ばれる試験薬が、サルの脳の能力を一時向上させ、睡眠剥奪の効果を逆にしたという。
この薬物は、神経伝達物質グルタミン酸塩の作用を高め、細胞から細胞への伝達に関連する脳の受容体に作用する。
先日、Public Library of Science-Biologyのオンライン版で報告されたが、まずアラートが作用するようにした。休息をよくとったサルが、他のものから特定のイメージを選ぶと、コンピュータの画面が光った。CX717を使用すると、これらのテストスコアがほぼ完全近くにまで向上したという。
次に、同じサルに30〜36時間睡眠をとらせず、再び同じテストをさせた。3日間休みなしの状態でいるヒトと同じ条件である。
ヒトと同じように、霊長類は寝不足のために顕著に鈍くなった。しかし、ノースカロライナのチームは、CX717の使用で能力を通常の水準に戻したと報告する。
「能力を通常の状態に向上させることに加えて、この薬物は睡眠の損失の後に、損なわれた能力を復元しました」と、主任研究員のSamuel Deadwyler氏は発表した。
研究者は、サルの脳のPETスキャンの画像から「睡眠を剥奪して引き起こされた脳のパターンの変化を、薬物の作用で逆にすることを明らかにした」と話す。
CX717は、脳のfrontal cortex(前頭葉の皮質?)、ここは高次の精神的なプロセスの起こる場所で、短期記憶を支配するセンターでもあるが、ここにおける活動を高めるようにみえた。
その薬は、睡眠不足に起こる作用を逆にして、医療専門家や交代制勤務従業員、軍人など睡眠不足でも、トップレベルで働くことを要求されるような人たちを助けるだろうとのこと。
Cortex Pharmaceuticalsである、その薬の開発者によると、CX717はまた、睡眠不足のヒトで実験をしても、良い結果がでたという。
(HealthDay - 8月23日)
このCX717という薬をのむと、
通常なら睡眠不足で頭がぼーっとするような状態でも、
頭がしゃっきりして、注意力を要する仕事でもできるということのようだ。
人の命を預かるような医療関係者や軍関係者に良いということだが、
もともとは軍関係者のために開発されたのではないだろうか。
また、こういった薬が日常的に使われるようになると、
現在の働きすぎの人がさらに働くことを要求されたりして、
過労死の問題が増えそうな気もしてみたり。
ここでは副作用にまで言及されてないものの、
やはり自然のリズムに従うのが一番良いのではないかと思う。
そういう意味では、あまり実用化してほしくないなあ。