彼らが単に不幸なだけのとき、非常に多くの人々がうつ病と診断されていると、ある精神科医は述べる。 Gordon Parker教授によると、臨床上のうつ病の敷居が非常に低いため、普通の感情が時々精神疾患とみなされているという。 Parker教授は、うつ病が「どんな場合にも適応可能な」診断となり、製薬会社からの賢いマーケティングによって動かされ、抗うつ薬の処方が急成長するに至っていると話す。 英国医学雑誌(BMJ)における記述で、臨床的なうつ病よりもむしろ、人々が不幸だったケースにおいて、薬が「本当の有用性」を越えて市場に出されていると、彼は語る。 オーストラリア、ニューサウスウェールズ大学の精神科医は、うつ病の「過剰診断」が80年代初めに始まり、マイナーな気分障害に対する診断の敷居が低くなったと述べる。 242人の先生で行った15年の研究では、4分の3以上がうつ病の現在の基準を満たすことが分かった。 徴候の条件は、2週間「気分が悲しかったり、ブルーだったり、意気消沈している」、または食欲の変化や、睡眠障害、性欲の低下及び疲労を含む。 この精神科医は、これらの徴候は非常に一般的で、ほとんどの人が一生にいくつか有するだろうと語る。現在の診断ガイドラインに従えば、成人5人のうち1人くらいは、生涯の間にうつ病にかかると考えられている。 過去10年における抗うつ薬の処方の世界的な急成長は、製薬会社のマーケティングキャンペーンの批判につながっている。 90年代後半に、日本の製薬会社は、「軽度の鬱病」を、薬物を必要とした状態として認知を促した。 グラクソスミスクライン社はこの国で、軽度の鬱病についての啓蒙活動を行い、「うつ病は、誰でもかかりうる病気です。それは、薬で治療できます。早期発見は大切です」と言った。 製薬業界アナリストIMS Healthによると、1998年〜2003年の間に、日本の抗うつ薬の売上高は、5倍に増加している。グラクソスミスクライン社は、パキシルという薬の売上高が、2001年〜2003年の間に1億800万ドル(£54,510,500)から2億9800万ドルまで上がったとしている。 けれども、精神衛生慈善団体は、うつ病が過剰に診断されているというParker教授の主張を退けた。 SANEの最高責任者であるMarjorie Wallace氏は、次のように述べている。「うつ病を治療を受けないままにするより、過剰の診断の危険を冒す方が良いです。重いうつ病10人に1人が、自分自身の命を奪うかもしれません」 彼女の意見は、シドニー大学のIan Hickie教授の、BMJの別の研究によって支持され、うつ病の診断の増加のおかげで自殺率が減らされたと言う。 うつ病は「気分が沈むことから、人が朝ベッドから出られなかったり、あるいは人間関係や働くことを継続することができないかもしれないほどまで」さまざまであると、Wallace氏はつけ加える。 けれども、充分なお金がカウンセリングのような精神療法に注ぎ込まれていなかったために、医師たちが低レベルのうつ病に対して抗うつ薬を過剰処方するのを強いられていたことを、彼女は認めた。 メンタル・ヘルス財団の最高責任者であるAndrew McCulloch博士は、英国でうつ病が過剰診断されたという「可能性は極めて低い」と話す。彼は、うつ病の徴候を認めなかったために、多くの人々が援助を求めなかったことが、より真実であると述べている。 しかし、彼はまた、代替治療がより効果的であるかもしれないときに、医師たちが薬物をあまりにたやすく提供していたことにも同意した。 「薬物は英国で一般開業医や患者によって大いに頼られ、代替療法がより適しているかもしれないときに、しばしば処方されます」と、彼は話す。 WHOは、2020年までに、うつ病がグローバルに慢性心臓病の次に、2番目に最も多い深刻な病気になるだろうと予測している。 (Guardian Unlimited - 2007年8月17日)