この前「解禁!ジョージ・ブッシュ伝噂の真相」という映画を見た。
ずいぶん前にスカパーで放映されたものだが、
録画したまま、仕事で疲れてなかなか見る機会がなかったのだ。
内容が重いというのもあった。
一度少しだけ見たものの、いつのまにか眠ってしまったこともある。
スペース・シャトルの打ち上げを待つ間、思い切って見ることにしたが、
面倒だったので、この前の続きである途中から見ることにした。
私はてっきりブッシュ大統領自身についての話だと思っていたのだが、
そうではなく、ブッシュについての暴露本を書いた
ジャーナリストについてのドキュメンタリーであった。
彼の名前は、ジム・ハットフィールド。
大手の出版社から「幸運なる二世」という本が出版されるも、
ブッシュ陣営から圧力がかかり、ついには差し止めになる。
本はすべて回収され燃やされた。
おまけに、作者自身の過去が暴露され、窮地に追いやられる。
どうやら殺人未遂を犯し、
刑務所に収容されたことがあったらしい。
被害者の怪我は大したことがなかったらしいが、罪は罪である。
ということで、マスコミから叩かれることとなる。
しかしジム・ハットフィールドはあきらめなかった。
ソフト・スカル・プレスという小さな出版社から
再び本が出版されることとなる。
サンダー・ヒックスという若い社長とのメールのやりとりも紹介されるが、
ジムのメールは怒りに満ちていた。
やっと本が出版されるも、
今度は前書きに書かれた内容が名誉毀損だと訴えられる。
そのため、第2版からは前書きを削除することを約束。
「ブック・エキスポ・本の博覧会」に出品し、記者会見を開くも、
犯罪歴についてばかり質問され、
肝心の本の内容については、その情報提供者は誰か、ということのみであった。
そして追い詰められたサンダーは、ついその提供者の名前を出してしまう。
ジムは、その後、「自分にもしものことがあったら、
今撮影しているこの映像を世に出してほしい」と語った。
まだ幼い娘についても話をし、
あとどれだけ一緒にいてやれるか考えるとつらいとも話す。
また、精神科にかかろうかとも言う。
その一ヵ月後、彼はあるホテルの一室で遺体となって発見された。
そばには2種類の薬と、遺書のようなものがあったという。
妻は、その筆跡を夫のものと同じだと証言したこともあり、自殺と断定された。
サンダーは、出版社をたたむも、ジムの原稿や資料を大切に保管している。
と、細かい部分の記憶はあいまいなのだが、こういったような内容だった。
ブック・エキスポでの映像で、
ジムが3回罪を犯したら終身刑だから、あと1回やったら終わりだ、
というようなことを話していた。
このこともあって、かなり精神的に追い詰められていたのだろうが、
本当に自殺だったのだろうかという疑念が払拭されない。
妻の証言にも圧力がかかっていた可能性はないのだろうか。
それに、サンダーのその後についても、
何か暗示されるものを感じて仕方がなかった。
今でも無事なのだろうか。
アメリカのように自由を謳う国においても、
このようにして言論の自由は奪われるのである。
そればかりか、人の命までも。
日本でも、人権擁護法案なんてものが成立してしまったら、
本当のことを言ったとしても、
簡単に封じ込むことができてしまう。
誰かが「人権侵害だ」と一声上げるだけで、
人権委員なる人物が、すぐさま土足で自由に踏み込んでくるのだ。
果たしてこれを民主主義の国といえるのだろうか。
ちなみにこの映画を観終わったあと、CNNにチャンネルを合わせると、
スペースシャトルの打ち上げはscrub、
つまり中止という文字が出ていた。