のどへの刺激が、地中海料理が健康に良いという新しい手がかりとなる。エキストラバージン・オリーブオイルの中から発見された天然由来の化学物質が、非ステロイド性抗炎症薬であると、Monell Chemical Senses Centerの科学者たちが、ペンシルバニア大学やフィラデルフィアのUniversity of the Sciences、およびFirmenich Inc.との共同研究で報告された。
oleocanthalと命名され、その化合物はシクロオキシゲナーゼ(COX)酵素の活性を阻害する。この活性は、作用機序がイブプロフェンと同じである。
炎症の進行が、さまざまな慢性病を引き起こす鍵の役割をすると考えられているため、この発見は重要である。
「地中海料理の健康に関する効果で、プレミアム・オリーブオイルに含まれるoleocanthalには天然の抗COX活性が充分あります」と、Monellの生物学者Gary Beauchamp, PhDは述べる。
研究結果は雑誌ネイチャーの9月1日号に掲載される。
その新鮮なエキストラバージン・オリーブオイルが、ユニークで変わった方法で、のどの奥を刺激するという思わぬ発見をしたことがきっかけとなった。
「私は、以前の研究でイブプロフェンを飲み込んだ際に、のどに刺激があったという体験をしていました。それでシシリーでの分子美食法の会合に出席し、新鮮な圧搾オリーブオイルを味わったときに、のどに当時と同じ感覚があることに気づき驚きました」と、Beauchamp氏は説明する。
オリーブオイルののどの刺激によって得た手がかりから、科学者た
ちは系統的に、プレミアム・オリーブオイルの、のどに刺激を与える原因であると考えられる無名の化学物質の知覚の特性を調べた。結果から、与えられたエキストラバージン・オリーブオイルの刺激の強さが、その化学物質の含有量に直接関係することがわかり、その化合物を、oleocanthalと名づけた。(oleo=オリーブ;canth=刺激;al=アルデヒド)
いかなる他の化合物の可能性をも排除するために、MonellとPennの化学者は、天然にオリーブオイルから発見されたすべてに関して同じoleocanthalを合成して、それがまさに同じのどの刺激を起こすことを示した。
「デノボ合成(体内で合成することらしい)によってのみ、有効成
分がoleocanthalであるということを絶対的に確信できるでしょう」と、論文の共著者Amos Smith, PhDは説明する。
oleocanthalとイブプロフェンの間の知覚の類似性から、Monellや
University of the Sciencesの科学者たちは、潜在的に共通する薬理学的な特性を調べることになった。 研究では、oleocanthalがイブプロフェンのようにCOX-1とCOX-2酵素の活性を阻害することが明らかになった。COX活性の阻害がイブプロフェンや他の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の抗炎症作用の基礎となるため、新しい研究結果は、oleocanthalが天然のの抗炎症薬であるということを示唆する。
Monellの感覚の科学者のPaul Breslin, PhD、彼はBeauchamp氏と共に研究を指示しているが、「オリーブオイルを豊富に使う地中海料理は長きにわたって、大きく健康に寄与してきました。卒中や、心臓病、乳がん、肺がん、ある種の痴呆症のリスクも減らしています。同様の作用は、アスピリンやイブプロフェンのようなNSAIDsと関連しています。今やoleocanthalに抗炎症作用があることがわかったので、oleocanthalが、オリーブオイルを使った食事で健康に寄与するというのは、もっともらしく思えます」
Beauchamp氏は、今後の研究で、oleocanthalがどのようにCOX酵素を阻害するか、また、これがどのようにのどを刺激にするかを調べるという。
Breslin氏によると、「この研究は、刺激に基づいた薬理活性で最初にわかったケースであり、何10年も前に元々フィッシャーによって提案された考え、化合物のorosensoryの質が薬理学の力を反映するかもしれないという考えを進めます」という。
The Monell Chemical Senses Center is a nonprofit basic research institute based in Philadelphia, Pennsylvania. For 35 years, Monell has been the nation's leading research center focused on understanding the senses of smell, taste and chemical irritation: how they function and affect lives from before birth through old age. Using a multidisciplinary approach, scientists collaborate in the areas of: sensation and perception, neuroscience and molecular biology, environmental and occupational health, nutrition and appetite, health and well being, and chemical ecology and communication. For more information about Monell, please visit www.monell.org.
引用: Beauchamp, G.K., Keast, R.S.J., Morel, D., Lin, J., Pika, J., Han, Q., Lee, C-H, Smith, A.B. III, Breslin, P.A.S. Ibuprofen-like activity in extra-virgin olive oil. Nature, 2005, 437, 45-6.
(Eurek Arart! - 8月31日)
オリーブオイルは昔から身体に良いとされてきた。
私も、ある人に勧められて、
エキストラバージンオリーブオイルを使っていた時期があった。
また、これを使った療法もやったことがある。
このときは、オリーブオイルにレモンを絞っただけのものを飲んだ。
これに関しては、まねをする人が出ると困るので、これ以上は書かないが、
とてもつらかったことを覚えている。
しかし、のどに刺激感を感じたという覚えはないので、
この発想を得た人は、味覚というか、
のどの感覚がとても鋭かったのかもしれない。
この情報を得て、またこのオイルを常用しようかと考える私である。
が、家人いわく「イブプロフェンと同じ作用だったら、副作用も出るのでは?」
言われてみればそうかもしれない。
なお、Monellについての説明と、引用に関しては
力つきたので原文のままにした。
また、本文最後の方にある、"orosensory"がわからなかったのと、
フィッシャーという人についても、どういう人なのかわからないので、
意味不明になっていると思う。