注射される時に「痛くない」と強く思うと、痛みが軽くなる。
前もって痛みが小さいと思い込むと実際の痛みも和らげられることを、西宮協立脳神経外科病院(兵庫県西宮市)の小山哲男医師と米ウエークフォレスト大のロバート・コグヒル助教授らが脳活動の分析で確認した。6日、米科学アカデミー紀要電子版に発表した。
小山医師らは、被験者10人を対象に、信号音の間隔が15秒のときは48度、30秒では50度など、信号音を2回聞かせた直後にふくらはぎに熱の刺激を与える実験を繰り返し、間隔が長いほど痛みが大きいと思い込ませた。
この後、15秒間隔の時の温度を50度に変えて実験。痛みの程度を評価してもらったところ、30秒間隔で50度の刺激を与えた時と比べ、感じる痛みは小さくなった。
被験者の脳内の様子を特殊な装置で調べると、痛みが小さいと思い込むほど脳の快感や不快感をつかさどる部位の活動が低下していた。痛みを加えた後は、この部位の働きが小さいほど、体から痛みが伝わる部位の反応も鈍くなった。結果として「思いこみ」が痛みを感じる部位の反応を低下させていることがわかった。
(読売新聞 - 9月6日)
この話は「
良くなると思えばそうなる」の記事ともつながってくると思われる。
暗示による効果である。
この研究では、痛みを感じる部位の反応が鈍くなるためとなっている。
この前の記事では、内因性のエンドルフィンが分泌されるためというが、
改めて読んでみると、せっかくPETスキャンをしているのに、
これについては一切記述がないことに気づいた。なぜ?
一方で、やはり思い込みに関する話を以前TVでやっていたのを思い出した。
どこの国だったかなど詳細は覚えていないのだが、
ある人(囚人だったと思うが)に目隠しをした上で、
これから手首を切って出血させると言う。
しかし実際には切るまねだけして、切らない。
その代わり、そのそばで水をぽたぽた落とす。
被験者は横たわって、その水の落ちる音を聞きながら、
自分の手首から血が流れ出ていると思い込んで、
どれくらいの時間が経ってからなのか、
そのうちにとうとう死んでしまったというものだ。
その他、最近どこかで見た記事では、
ホメオパシーの効果は、
暗示の効果によるものだという研究結果が発表されていた。
ホメオパシー、これは同種療法とも言われる。
バッチ・フラワーレメディーなんかがそうだ。
さまざまな花のエッセンス(アルコール類で抽出していたと思う)を混ぜたものである。
このように思い込みのパワー、すなわち暗示の力というものは、
いい意味でも悪い意味でも、すごいものだと思う。
だからといって、すべてが思い込みで成り立つわけではない。
この研究のように、注射の痛みを和らげる程度ならいいが、
痛みによっては、診察を受ける必要がある場合もあるので、
なんでもかんでも思い込みで治そうなどと考えてはいけない。