アメリカのハーバード・メディカル・スクールで、
うつ病に関する新しい物質「Par-4」が発見されたという。
これは、「prostate apoptosis response 4」の略で、
prostateは前立腺、apoptosisはアポトーシス(細胞の自殺)を意味する。
原文は下記URLへ。
http://www.rxpgnews.com/research/psychiatry/depression/article_1953.shtml
貧弱な私の英語力で、大まかに訳してみる。
一部、日本の事情に合わせて変更したりした部分がある。
また、つたない訳のため、不自然な表現になっているかもしれない。
発見したのは、ハーバード・メディカル・スクール(HMS)の病理学のLi-Huei Tsai教授や、Sang Ki Parkら研究者たちで、マウスを用いて実験を行った。
Par-4はドパミン受容体D2に結合する物質であり、これを欠乏させたマウスにストレスを与えると、そのマウスは、うつ病の症状を呈したという。
Par-4は以前から、アルツハイマー病などにみられるような神経退化因子と関係があると言われてきたそうだ。
うつ病の原因はさまざまであるが、セロトニンやノルアドレナリンのいずれか、あるいは両方の欠乏、もしくはアンバランスが根本的な原因だとして、それに基づいた治療が行われる。そのため、現在使われている薬は、セロトニンやノルアドレナリンの濃度を調節するSSRIやSNRIと言われるようなものが中心となっている。ところが、これらの薬は効果が出るまでには、ずいぶん時間がかかるのである。
気分やモチベーションに関する回路は、ドパミンが支配している。大脳皮質の下にある線条体の、線条体ニューロンによって統合され、ドパミンの作用を受ける。
ドパミン受容体には5つのサブタイプがあって、その受容体にドパミンが結合することによって、原動力を発揮させたり、ステレオタイプ(型にはまった)な態度、覚醒、気分、意欲、内分泌といった機能を発揮する。
中でもドパミンD2受容体の機能が減弱すると、統合失調症や薬物中毒を含む、さまざまな精神神経科の病気につながる。
そのため、ドパミンD2受容体における調節の仕組みが詳しくわかれば、それに関連するさまざまな病気を治療するための新しい治療につながるかもしれない。
ということである。
実際に治療薬として使えるようになるまでには、
まだずいぶんとかかるだろうが、画期的な発見らしい。