Society of Nuclear(細胞核) Medicine(医学)によると、脳のオピオイド受容体システム(もしくはエンドルフィンシステム)の役割は、過食症の理解や治療の鍵を握っているかもしれない。このことが、the Journal of Nuclear MedicineのSociety of Nuclear Medicine8月号で報告された。
「この中毒性の行動障害を、オピオイドシステムとの関連で説明できるかもしれません」と、メリーランド州バルチモアにあるJohns Hopkins School of Medicineの精神医学の助教授であるAngela Guarda, M.D.は話す。
神経性過食症におけるオピオイドシステムの研究で、まず考えたのは、過食症の女性と健康な女性とでは異なるだろう、ということであると、ジョン・ホプキンズでの放射線学と神経科学のM.D.でありPh.D.であり、教授でもあるJ.James Frost氏は付け加えた。彼は「島皮質に結合するi-オピオイド受容体は、神経性過食症で減少して、反対に拒食とも関連する」の共著者でもある。
研究では、過食症の8人の女性を、同じ年齢と同じ体重の健康な女性と比較した。短時間作用型の放射性物質のcarfentanilを注射してから、陽電子放射断層撮影装置(PET)を使って、脳をスキャンした。このcarfentanilは、脳のμオピオイド受容体に結合するものであると、Frost氏は説明する。PETは、特別な画像システムを体内に挿入せずに使用する強力な医療画像処理をするもので、体の細胞の機能や代謝を画像にする放射性トレーサーである。
「過食症の女性において、結合するμオピオイド受容体が健康な女性よりも、左の島皮質では低いことがわかりました。食べようとしたり、満足したりするのと同様に、島皮質は味覚の処理にも関係していて、薬物中毒やギャンブルなどの、他の依存性の行動障害の研究にもつながりました」と、彼は述べた。
神経性過食症は、体重をコントロールするために、ダイエットや、やけ食いや嘔吐を繰り返す破壊的なパターンによって生じた、重大な摂食障害である。
「患者は、代償である、この行動パターンの罠にかかっていると感じるのです。そして、薬物乱用のように、過食症はしばしば慢性化したり再発したりします」と、Guarda氏は話す。
神経性過食症(一般的に女性では、男性より10倍以上)は合衆国で思春期の少女や若い女性の1〜2パーセントでみられる。 過食症は、慢性化して、発作や不整脈、歯の浸食、唾液腺が膨れたり、胃腸の刺激感、電解質不均衡といった重大な健康上の問題につながる。まれに致命的となることもある。 神経性過食症の原因はまだ未知であるが、ある脳内物質が、過食症患者において異常に機能するかもしれないという結果が示された。
この研究は、これまでよりもさらに効果的な治療の開発のために、分子レベルに目標を置いている。フロスト氏は、脳のオピオイド受容体システムに作用する薬物療法や、薬物乱用障害の治療へのアプローチが、過食症の治療にも役立つかもしれないとした。(8月10日)
http://www.rxpgnews.com/research/psychiatry/article_2015.shtml
過食症は、食欲の有無に関わらず、
いくらでも食べてしまう病気である。
食べてはもどし、また食べるという。
そうせざるを得なくなるような依存性を引き起こす仕組みが、
薬物中毒などと似ているということのようだ。
オピオイドというのは、麻薬性鎮痛薬のことで、
脳内麻薬として、エンドルフィンなどがよく知られている。
アルコール依存症の人のための有名なプログラムとして
「A.A.12のステップ」がある。
内容はスピリチュアルなものとなっているものの、宗教は関係ない。
A.A.というのは、Alcoholics Anonymousの略であるが、
アルコールのみならず、薬物依存症など、
何かに依存するような状態から脱却するために
役立つステップといわれている。
これに関しては、検索してみるといろいろ出てくるので、そちらを参照されたい。
日本国内でも行われているようなので、
こういうのを利用するのも良いかもしれないが、
この自助グループは、A.A.とつく以上、
残念ながらアルコール依存症のみしか受け付けていないようだ。