起きているときに神経の活動がずっと続くと、アデノシン・レベルが増加し、人は眠くなるという研究結果が出た。これは脳が、起きた状態での神経の活動と、睡眠を必要とする状態との間で適切にバランスを取ろうとする方法である。何かがこのアデノシン・システムに支障をきたせば、不眠になる。
UT Southwesternによると、なぜ人は眠くなったり、眠りに落ちるのか、どのようにしてカフェインがそのプロセスを遮断するのか、ということが、UT Southwestern Medical Centerの研究者たちによって行われる新しい研究の課題であるという。
脳のある部分の細胞が酷使されると、脳内で化合物ができて、働くのをやめるように伝える。 これが眠気の原因となり、眠りに落ちる。コーヒーや紅茶を摂ることによって、その自然に起こるプロセスの代わりに、脳の化合物(アデノシンと呼ばれる)はブロックされ、人は目覚めた状態のままになる。
この研究結果は、オンラインと雑誌Neuronの4月21日号に掲載され、身体の自然な睡眠プロセスにおける脳の機能に関する新しい手がかりとなる。これを、不眠症や他の睡眠障害に対する治療に将来つなげたいとする。
脳の覚醒中枢で神経活動が長く続くと、アデノシンが放出され、覚醒中枢領域における神経活動は鈍くなる。覚醒中枢の調節の活動は、脳全体に広がるため、脳のどの部分においても神経活動は鈍くなる。
「不眠と慢性的に眠らないでいることは、よくある問題です。加えて、うつ病や統合失調症、PTSD(外傷後ストレス症候群)を含む全ての主要な精神障害には、際立った症候として睡眠の乱れがある」と、Robert W. Greene博士(精神医学の教授で論文指導者)は言う。
「正常に眠りに落ちるようにしてくれる要因についていくつか、より理解することができたなら、何が良くないのか理解し始めることができます」
眠気を引き起こす脳細胞の過活動がわかると、カフェインがいかにして、人が眠らないように作用するかということも説明できる。
「コーヒーが目覚めさせ続けることは、わかっていました。今、私たちはその理由を知っています。コーヒーや紅茶が、起きているときにずっと神経活動が続いた際に、細胞内におけるアデノシンの量が増加するのを妨げるのです。このことが眠気を起こさないようにする理由なのです」と、Greene博士は話す。
Greene博士らによる過去の研究は、アデノシンが「疲労要因」として機能するかもしれないということを示した。 ずっと起き続けていると、覚醒中枢におけるアデノシンレベルが増加し、哺乳動物は眠りに落ちる。しかし、以前知られていなかったことは、何が眠りを誘導するアデノシンの放出の引き金になるかということである。
「脳のニューロンは、互いに伝達して、情報を処理して、身体活動を調整します。これは、神経活動と呼ばれます。長時間これが続くと、アデノシンはどんどん放出され、放出をやめるようにと、細胞にフィードバックされます。このことは、こう言うような感じです。『君たちは一生懸命働きすぎた。気楽にやれ。そしてリフレッシュしろよ』と」と、Greene博士は言う。
「私たちの研究でわかったことは、ずっと起きた状態で神経活動が続くと、アデノシンレベルが増加し、人は睡魔を感じるということです。起きているときの神経活動と睡眠の必要性の間で、脳は適切なバランスを取ろうとします。このアデノシン・システムに支障が起きれば、不眠症になるのです」
4月21日に発表されたものなので、少し古い記事なのだが、
以前、「
疲れとセロトニン」で書いた内容にもリンクするので、訳してみた。
もしかして「見張り番」というのが、このアデノシンではないのだろうか。
とにかく、身体のために睡眠はとても大事だということである。