クロトンと呼ばれる東南アジアの低木の葉をこすると、おそらく皮膚にひどい吹き出物ができるだろう。 しかし、この植物の種子から得られた 12-O-tetradecanoylphorbol-13-acetate(TPA)と呼ばれる化合物が、人の最も致命的な悪性のガンの1つである膵臓ガンと闘うかもしれないという。 「膵臓ガンは治療が困難です。治療のオプションが非常に限られているので、生存する人は多くありません。TPAは治療法としての可能性があり、追求する価値がたしかにあります」と、ニュージャージーのRutgers Universityで、生物化学および白血病の研究をしているAllan H. Conney教授は、声明を発表した。 マウスでは、TPAと、オールトランス型レチノイン酸(ATRA)とビタミンA誘導体と組み合わせたものは白血病に対して、すでに効果があることがわかっていると、研究者らは述べた。 その上、「私たちが、実験室で前立腺癌を治療する際に、ATRAをTPAと一緒に使うことが、有効な相乗効果をもたらすことが、以前にわかっていたので、膵臓ガンに対しての組み合わせをテストするのは論理的でした。細胞培養においてTPA/ATRAの組み合わせは、個々の化合物単独よりも、うまく作用しました」と、Conney氏は話す。 TPA単独とATRAと組み合わせて膵臓ガンのネズミを治療すると、腫瘍の成長の抑制と、腫瘍の縮小を観察した。腫瘍において、プログラムされた細胞死(アポトーシス)が実質的に増加し、腫瘍細胞の増殖(有糸分裂)は実質的に減少した。 「同時に、新しいガン細胞の成長を止め、既に存在しているものを殺していました。腫瘍にTPA/ATRAを組み合わせたものを使用したとき、この作用は最も劇的でした」と、Conney氏は言う。 研究結果は雑誌Pharmacology and Experimental Therapeuticsの10月号で発表されることになっている。(HealthDay - 8月22日)