脳のエストロゲンが少ないと女性のアルツハイマー病のリスクが高くなる
女性 | 2005.12.27 Tuesday 21:19
脳内のエストロゲンが低濃度だと、女性でアルツハイマー病を発症する危険性が高くなるかもしれないということが、新しい研究でわかった。
全米科学アカデミー会報の今週号のオンライン版に掲載されている報告は、そのような関連性を示す最初のもののようである。専門家は、この研究結果が身体を衰弱させる病気を予防するのを助けるための新薬候補につながるかもしれないと話す。
「これは、この領域における研究に活気を与えるでしょう」と、Alzheimer's Association's Medical and Scientific Advisory Councilのチェアマンであり、フィラデルフィアのトーマス・ジェファーソン大学のFarber Institute for Neurosciencesのディレクターである、Sam Gandy博士は話す。「これは有益であるかもしれないホルモン補充療法に対する手順でやり続ける理由を私たちに与えるでしょう。私はこの論文に非常に興奮しています」
専門家たちは長い間、女性が男性よりも、アルツハイマーを発症するという危険性が高いということを述べてきた。一般に、女性の方が長生きするという事実によって、この一部についての説明ができるが、それはおそらくすべてではない。
「最も一般的な仮説は、女性には更年期の後、エストロゲンが減少するということです」と、この論文の第一著者であり、アリゾナ州サンシティにあるSun Health Research Instituteで主席科学者で助教授のRena Li博士は話す。
事実、疫学の研究で、ある環境のもと、ホルモン補充療法(HRT)を受けている女性では、アルツハイマー病の危険性が減っていると、Gandy氏は言う。
臨床試験は、しかしながら、大いに期待はずれであり、HRTに対する予防的な役割は示さなかったと、Gandy氏はつけ加えた。
また、更年期理論にはもうひとつの穴がある:「エストロゲン減少がメカニズムであるなら、更年期に達しているすべての女性が、なんらかのアルツハイマー病になるべきですが、それは事実ではありません」と、Li氏は話す。
実際、発症するのは、女性の4分の1未満の人である。
Li氏は、以前に理論づけられたのと異なった方法でエストロゲンが関わることができると推測した。彼女のチームは、卵巣の組織に加えて、脂肪や脳組織も、エストロゲンを作り出すことができるという事実に注目した。卵巣の組織は、更年期にエストロゲンの生成を停止するが、これはおそらく他の組織では違うだろうと言う。
この研究で、Li氏たちは、アルツハイマー病の女性患者の死後脳組織におけるエストロゲンレベルとアロマターゼの出現を調べた。アロマターゼは、エストロゲンの生成に関わる酵素である。
アルツハイマー病患者の脳では、年齢と性を合わせた対照群よりもはるかにエストロゲンのレベルが低いことが判明した。
続いて、研究者たちは、脳内のエストロゲンが欠乏する血統になるようにして、アルツハイマー病を発症するように遺伝子を組み換えたマウスを交配した。彼らは、このげっ歯動物の脳組織の中で、ベータアミロイドタンパク質プラーク(アルツハイマー病の証明になる)のレベルがどれだけ上昇するか調べた。
「もう一度、エストロゲン欠乏が、プラークの増加に関連しているという話が出ました」と、Gandy氏は話した。「プラークは、さらに早くできて、もっとひどかったです」
したがって、他の研究者は循環しているエストロゲンに焦点を当て、血中濃度を測定したが、Li氏は、焦点を脳のエストロゲンに切り替えた。
「論文全体は脳に焦点を合わせています」と、彼女は話した。「だれも今まで、脳のエストロゲンを調べませんでした。みんなは血液を考えたのです」
Li氏のチームは現在、それがドラッグをスクリーニングするために開発した動物モデルを使用していて、アルツハイマー病の病理学を誘導する、脳のエストロゲンの欠乏を逆にすることができる薬物療法を探している。
「この考えから、エストロゲン自体が本当にアルツハイマー病に良いという十分強い証拠があれば、次に、脳のエストロゲン受容体に対して特異的であるエストロゲン分子を開発する研究を行うことができ、末梢のエストロゲンの新陳代謝を放っておくでしょう」と、Gandy氏は説明した。
(HealthDay News - 12月19日)
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