今日の「たかじんのそこまで言って委員会」の1つ目の議題は、
「専業主婦の税制優遇」を改めるべきか否か、ということだった。
現在、年間所得103万円までなら配偶者控除が認められ、
130万円までなら、年金の保険料を支払わなくても、
夫の分で、妻の年金ももらえることになるらしい。
これをなくすべきかどうか、さまざまな立場から意見が出て、
議論もヒートアップしていた。
どの意見もそれなりに、うなづけるところがあり一概には言えないが、
私個人的に体験したことを、少し書いてみたいと思う。
これまで私の周りでも、
この配偶者控除が認められる枠内に納まるように働いている人が多かった。
そして、それを口実に堂々と休みを取る。
それでも仕事が回ればいいが、
そうでない場合、人員がぎりぎりの場合は
残った人にそのツケが回ってくる。
下手をすると、正職員は有休が取れなくなることも。
しかし、これはまだ序の口である。
ある調剤薬局で働いていた時、こんなことがあった。
私はパートだったのだが、
私の休みの日には別のパートの人(これ以降は、Aさんと呼ぶ)が働いていた。
調剤をしたり、服薬指導をしたら、
処方箋や、患者さんに渡す薬袋、あるいは薬歴に、
それぞれ携わった人の名前の印鑑を押さねばならない。
他のどんな仕事でもそうだろうが、
責任の所在をはっきりさせるためだ。
私はいつも白衣のポケットに印鑑を入れていて、
使うロッカーは、Aさんと共有していた。
ある日、私が休みの日にも、印鑑を使われていたことを知ることになる。
Aさんが使っていたのだ。
それも、薬局の社長がそうするように言ったらしい。
Aさんには全く会ったことも話したこともない。
見ず知らずの人である。
そのAさんが、たとえどんなに優秀な人であったにせよ、
人間である以上は、ミスをすることもあり得る。
もし何か起きてしまった場合、勝手に使われた印鑑のせいで、
私は犯罪者にされるかもしれない。
あるいは、私が休みなのに、押印されているからといって、
出勤扱いとなり、実際にはもらっていない給料を所得とされて、
税金を多く請求されることになるかもしれない。
そんな考えが頭の中をぐるぐる回って、
仕事にも集中できなくなってしまった。
おまけに、社長はこう話した。
「Aさんは、他の調剤薬局でもパートとして働いてるから、
ここでは働いてないことになっている。
それに配偶者控除を超えるといけないので、
タイムカードは、僕の妻の名前になってる」
その調剤薬局には、いないことになっているはずのAさん。
何かあって、私が事実を話したところで
書類上ではAさんはいないのだから、それこそ私は不利になる。
危機感は頂点に達した。
そのせいか、とうとう病気になり、それを理由に辞めたが、
その後、あることで親の耳に入ることとなり、大騒動になった。
とはいえ、狭い世界での話ということもあり、
これ以上のことは、勘弁願いたい。
社長から、恨みつらみのメールが届いた、とだけ書いておこう。
そういうわけで、こんな悪用が許されるのなら、
配偶者控除は必要ないと、私は考える。