双極性障害の人々は脳の縮小が促進するということを、英国の研究者たちは発見したという。 4年おいて行われた画像化研究は、記憶や、顔の認識、調整をコントロールしている領域で、脳組織の喪失を示した。 この研究結果はBiological Psychiatryで発表され、この病気の人々が時間とともに脳機能を損失するという観察を支持している。 双極性障害は、うつと躁の時期によって特徴づけられる。 それは、英国で50万人に影響を及ぼしている。 人々が躁病のとき、概して高揚していて、活発すぎ、ほとんど睡眠を必要としない。彼らはまた、妄想もしくは幻覚にも悩まされるかもしれず、自殺のリスクが非常に高い。 ・神経信号 20人の双極性障害患者と、その病気でない同数の被験者の脳のMRIスキャンは、時間とともに皆少量の組織を失うことを示した。 しかし、双極性障害の人で、神経信号が処理される灰色の部分の損失が、対照群より大きかった。 エジンバラ大学の研究者たちはまた、灰色の部分を最も失った人々が躁やうつを最も多く発症し、脳機能において最も大きく低下していたことが分かった。 研究リーダーのAndrew McIntosh博士は、脳組織の喪失が病気の原因かそれとも結果なのか、この研究では示すことができないと話す。 「それは、度重なる病気の発症が脳を害して、衰退につながるということであるかもしれません」と、彼は述べる。 「もう一つの可能性は、脳の変化がストレスまたは遺伝要因に起因するということです。それはより頻繁な病気の発現や、より大きな脳損失に至る傾向があります。 「どのみち、寛解している状態を維持することの重要性と、彼らが最高の治療を得ることの重要性が特に大事であると考えます」 ・『重要な問題』 Guy Goodwin教授(オックスフォード大学の精神科学部の部長)は、双極性障害が「脳疾患」であることをこの研究結果が示していると話す。 「このことは認知機能が中年の双極性の患者で弱められるという考えを支持し、これはおそらく、仕事への完全な復帰における問題や、双極性障害患者が予想より低い成績を収めるという証拠を説明するのを助けるでしょう」 Philip Timms博士(キングズカレッジロンドンの精神医学の名誉上級講師)は、この研究結果が多くの問題を提起すると述べる。 「重要なことは、脳の変化が、この障害を引き起こすのか、あるいはそれがこの障害なのか、またその関連しているストレスが脳の変化を引き起こすのかということです」 Marjorie Wallace氏(精神衛生慈善事業SANEの最高責任者)は、次のように述べている。「双極性障害は自殺の高いリスクを伴う過酷な苦痛で、この研究は再発を防ぐことの重要性を強調するように見えます。そして、それはこの病気の長期管理において最も重要な目標の1つとしてすでに認識されています」 (BBC - 2007年7月20日)