片頭痛の痛みは、さらに危険な痛みが目の前にあるかもしれないという警告である。 先に女性における研究で分かっていたことが男性でも、最近の研究で分かったという。片頭痛になる人は、片頭痛でない人よりも心臓発作や卒中のリスクが高い。 女性では、このリスクは閃輝暗点という、頭痛の前に光がフラッシュしたり、変なにおいをかぐという現象を伴った片頭痛になる人々に限定される。男性での研究はこの問題に取り組むことができなかったものの、おそらく男性でもそうだろうと、この研究の研究者のTobias Kurth, MD, ScD(Harvard Medical Schoolの薬学部の準教授)は話す。 「潜在的な問題を引き起こす閃輝暗点のある片頭痛のみであるようです。そしてそれは片頭痛に苦しむ人の少数派です」と、Kurth氏はWebMDに語る。「閃輝暗点のある人でさえ、個人にとって絶対のリスク、中〜低リスクです」 片頭痛は高いコレステロール値や、高血圧、肥満ほど大きな心臓病の危険因子ではない。が、リスクではある。Kurth氏の研究では、同様の心臓病危険因子のある男性を比べた。片頭痛の人は心臓発作になる傾向が42%高かった。 「予測では、私たちは心血管障害の予言者として片頭痛を特定することができます」と、Kurth氏は話す。 問題は片頭痛で苦しむ人が使用する薬物ではない。閃輝暗点があるか否かに関係なく、片頭痛に苦しむ人は同じ薬物療法で、同じ投与量を服用する。しかし、そのリスクは閃輝暗点を伴う片頭痛を経験する人々に限定されるようにみえる。 しかも、心臓病のリスクの高い人に、最も一般的で有効な片頭痛薬(トリプタン系)を使用することができない。心臓病のリスクが片頭痛の治療ではなく、片頭痛につながるとKurth氏は話す。 この研究結果はArchives of Internal Medicineの4月23日号に掲載されている。 ・片頭痛、心臓の痛み? なぜ頭痛が心臓発作を引き起こすのか? 誰も知らない。しかし、いくつか可能性があると、ニューヨーク、ブロンクスのAlbert Einstein College of Medicineの神経学、疫学、社会医学の教授であるRichard B. Lipton, MDは示唆する。 「1つの可能性はアテローム性動脈硬化症を引き起こす片頭痛発作があることです」と、Lipton氏はWebMDに語る。 これをもっともらしくすることは、心臓病が炎症(血管と他の組織が体内で非常警報器を鳴らす免疫の過程)と関係があるということである。片頭痛発作は炎症反応の引き金となる。 別の可能性は、心臓病の基礎になるのと同じ遺伝因子がまた、閃輝暗点を伴う片頭痛の基礎にもなるということである。片頭痛は通常青年期に現れるが、心臓病は通常もっとずっと後に現れる。そのため、片頭痛は心臓病を引き起こすよりもむしろ、単にこれから先の問題の初期兆候であるかもしれない。 Lipton氏は、閃輝暗点を伴う片頭痛を有することに明るい面があると言う。 「片頭痛が危険因子であることを知っていれば、もっと重大な危険因子を変えたり、リスクを減少させる機会ができます」と、彼は話す。「禁煙してください。血糖をコントロールしてください。そして、肥満にならないように。コレステロール値を下げてください。血圧を下げてください。 片頭痛が、自分自身の健康に気をつけるためのシグナルであると分かれば、この結果は、公共の健康に利益があるでしょう」 (WebMD - 2007年4月23日)