脂肪細胞で作り出された化学物質が直腸癌の成長を促進することが、米国の研究で分かったという。 なぜ非常に太った人々で、病気のリスクがとても高いようにみえるかを説明するのに、イギリスの雑誌Surgeryでの研究が役立つかもしれない。 カリフォルニア大学のチーム、サンディエゴは、レプチンというホルモンがヒトの直腸癌細胞の成長を増加させる引き金となったことを発見した。 肥満の人は結腸直腸癌の発症が最大で3倍高い。 他の研究者たちは、ある直腸癌細胞が、表面の化学物質に対する『受容体』で、レプチンに反応するようにセットアップされるようだということを既に発見している。 脂肪細胞が多ければ、血流にそれだけ多くのレプチンが存在するだろう。 サンディエゴチームは、ホルモンに曝露したヒトの癌細胞に起きたことを観察することによって、その関係に関するさらなる証拠を見つけたいと考えた。 研究室では、彼らは異なるさまざまな癌細胞にこのホルモンを加えた。 成長はすべての細胞株(3つのうち2つで実験を行った)で促進され、このホルモンはまた、正常な細胞を置き換えるのを身体に許容するようにプログラムされた死の過程を妨げるが、それは癌でしばしば誤作動する。 この研究を導いたKim Barrett博士は次のように話した。「これらの結果は、肥満がなぜ人の結腸癌のリスクを増加させるかを説明するかもしれません」 「レプチンがこれらの細胞をどのように刺激するかを示している事実は、製薬会社が病気に対して新しい治療を発展させるのに良い位置にいるかもしれないということを意味します」 ・肥満の増加 イギリスでは、現在5人の男性のうち1人と、女性の4分の1が肥満で、肥満に関連する病状(癌など)で早く亡くなる人は、1年当たり最大3万人であると見積もられている。 イギリスには、現在、ヨーロッパで最もたくさん肥満の人がいる。 今週発表された研究では、ひどい肥満の男性が前立腺癌で亡くなるリスクが倍になることが示され、肥満が乳癌を発症する機会も増加させると信じられている。 Alan Clarke教授は次のように話す。「この研究は、レプチン(脂肪細胞から放出されるホルモン)が肥満と癌との間の関係において役割を果たすかもしれないということを示すこれまでの研究の上に成り立ちます」 「レプチンが腸の癌の発症における役割を果たすことが知られている2つの分子経路に関与していることが分かっています」 「初期段階であるものの、この研究結果は腸の癌の発症や、肥満と癌との間の関係の上に光を放ちました」 (BBC - 2007年4月7日)