初期のテストで、リシンに対する実験的なワクチンが安全であることがわかり、当局がテロリストの兵器となることを恐れている毒から、保護されるようになる日がくる可能性が高くなったという。 リシンはトウゴマの実から抽出され、致命的で、生産が簡単である。食物や水に加えたり、注射したり、エアロゾルとしてスプレーすることもできる。 長い歴史でスパイ活動に使用されてきた。FBIは2003年にこの毒にかかわる1組の事件を調査している。1つでは、リシンを含む脅迫状がサウスカロライナの郵便の施設で発見され、リシンの入った2番目の手紙は、ホワイトハウスに宛てられたもので、ワシントンのメール処理施設で見つかった。 ダラスにあるUniversity of Texas Southwestern Medical CenterのEllen Vitetta博士によって導かれた研究者たちは、この毒が作用しないようにリシン分子の毒性の部位を変更する方法を発見した。 この研究結果は月曜日に全米科学アカデミー会報のオンライン版で報告された。 RiVaxと呼ばれる新しい分子を、マウスとウサギに与えると、抗体ができ、その後リシンを投与すると、その抗体はこの動物を保護した。 ヒトにおける安全性試験を行うために食品医薬品局から許可を得た後、研究者たちはRiVaxを15人のボランティアに投与した。 多量のワクチンが与えられた5人のボランティアは皆、リシンに対する抗体ができ、適量を投与された5人のうち4人は抗体ができたが、5人のうち1人は低投与量を与えられた人と同様だった。 マウスにリシンとヒトの抗体の混合物を注射すると、毒から保護された。また他の研究では、リシンを経口投与したマウスも保護されたことがわかった。 「この治験における私たちの主な関心は安全性でした」と、Vitetta氏は話す。「私たちは、非常に致死的な毒素を取って、安全であり、ヒトの防御的な免疫を引き起こすように、遺伝子を組み換えたのです」。 「私たちは、このワクチンが安全であり、免疫原性であることがわかっています」と、彼女は言う。「現在私たちは、最も持続性があり、最も強健な免疫を与えるような投与量や処方に修正する必要があります」。 彼女は、ワクチンが人間に使用できるようになるまでに、どれくらいかかるかの推測はしなかった。 Vitetta氏は、DOR BioPharmaがRiVaxを生産する認可を得、大規模なテストが充分行えるように動いていると話す。彼女の次のステップは、ワクチンを微調整して、それがどれくらい効果が続くか、どのようにそれを改良することができるか、また、それが吸入されたエアロゾルのリシンに対して作用するかどうか調べることである。 「私たちがバイオテロリストの使用する可能性のあるものに関して、私たちがどんなことにも備えを増やしておくことは、おそらく有益です」と、セントルイス大学でCenter for the Study of Bioterrorism and Emerging Infections(バイオテロと緊急感染の研究のためのセンター)のディレクターである、Greg Evans氏は評した。 しかし、彼は曝露の前に与えられる必要があるワクチンの有用性に関して慎重である。 「(リシンが)兵器として使用されるかもしれないからとして、多くの人々にワクチンを行うことに疑問を持ちます」と、Evans氏(Vitettaの研究グループの一員ではなかった)は話す。 (Associated Press - 1月30日)