抗うつ剤や血圧の薬などを使った非ホルモン療法が、更年期に関連する身体の火照り(ホットフラッシュ)を除去する。ところが新しい研究によると、それはエストロゲン療法ほど有効でないことがわかったという。 また、ホルモン補充療法のように、副作用のある非ホルモン療法があるかもしれないので、その使用を限定するのが最も良い、と研究者たちは話す。 「症状がそれほどでないなら、何もしない方がいいでしょう」と、この研究のlead authorであり、ポートランドのOregon Health & Science UniversityのHeidi D.Nelson博士は語る。 この研究結果は、アメリカ医学会誌の5月3日号に掲載されている。 更年期の症状に対する非ホルモン療法への関心は、Women's Health Initiativeの研究後、高まった。この研究は、ホルモン療法で女性に乳癌や血栓、卒中、心臓発作のリスクが高くなることがわかり、2002年にこの研究は予定より3年早く中止された。 新しい研究で、Nelson氏と彼女の同僚たちは、非ホルモン療法における43人の臨床試験の結果を集めて、分析し、いわゆるメタ分析を行った。彼らは、一般的な更年期症状である身体の火照りに対する各治療法の有効性を調べた。 「私たちは計算できる身体の火照りに焦点を合わせました」と、Nelson氏は話す。 何が助けたか? 抗うつ剤、血圧の薬のクロニジン(カタプレス)、ガバペンチン(ニューロンチン = 鎮痛薬 = 日本未発売)、てんかんの薬物療法はすべて、しばしば起こるひどい火照りがある程度減少した。アカツメクサのイソフラボン抽出物には効果がなかった。そして、もう1つのポピュラーな療法である、大豆のイソフラボンに関する研究の結果は複雑だった。 しかしながら、非ホルモン療法は完全に除去はしなかった。 「クロニジンは身体の火照りを1日あたり約1減少させました」と、Nelson氏は話す。パロキセチン(パキシル)などの抗うつ剤のSSRIもまた、身体の火照りを1日あたり約1減少させた。そして、ガバペンチンは1日に約2減少させたという。 ホルモン補充療法では、身体の火照りを1日あたり平均で2.5〜3減少があったと、Nelson氏は語る。その減少に価値があるかどうかは、ある日に、女性にどれだけ身体の火照りがあるかによるとしている。 多くの医師は、生活を憂うつにするほど深刻な症状を抱えた女性は、有効で最も少ない用量でホルモン補充療法をできるだけ短い期間受けることを提案する。 この雑誌の付随の論説で、サンフランシスコのカリフォルニア大学の薬学助教授のJeffrey Tice博士は、すべての非ホルモン療法には副作用があると述べている。例えば、抗うつ剤パキシルは、頭痛や不眠、不安、および性機能不全を引き起こすことがある。そして、メタ分析のために見直された試験では、この治療法が数カ月研究されただけなので、身体の火照りの除去における長期にわたる研究はないと、彼はつけ加えた。 「すべての抗うつ剤が等しいわけではありません」と、彼は話す。「身体の火照りの除去に対して最も一貫した証拠がある抗うつ剤の1つがパキシルです」 更年期症状が軽い女性は、火照りが生じたときに摂取した辛い食物や冷たい飲み物を飲むといった、身体の火照りの引き金になるものを避けることで十分だろうと、Tice氏は話す。「それから始めてください。もし薬物を必要としないなら、服用しないでください」と、彼は言う。 Nelson氏はまた、身体の火照りがやってきたら、衣服を重ね着したり脱いだりするなど、他の措置も勧める。 「憂うつな症状を抱える女性に、エストロゲンが適さないなら、これらの他の療法を調べ、何らかの除去法を見つけるべきです」と、彼女は話す。 (HealthDay News - 5月2日)