何千人もの人々が脳を損なう小さな脳卒中になっているかもしれないが、その傷に気づいていない。それは雑誌STROKEで発表される研究で分かったことである。 この研究は、45歳以上の人の18%が「ささやく脳卒中」と呼ばれる小さな脳卒中になっているかもしれないということを示唆するアメリカのデータに基づいている。これは、認識されないものの、まだ脳への損傷を与えることができる軽度な症状を引き起こす。 「それらは非常に小さいので、被験者にそっと話すだけです」と、研究の論文著者で、アラバマ大学のGeorge Howard博士はCTV Newsに説明した。「それは破壊的ではなく、あなたを床に倒したり、眠れなかったり、脳卒中の類に移行することができないということではありません」 米国の研究者たちは、2万1803人の被験者を調査し、今まで『ささやく脳卒中』を有したことがあったかどうか、あるいは一時的な虚血性発作(ほんの数分続く症状を引き起こすミニ脳卒中)を起こしたことがあったかどうか、脳卒中のような症状だが脳卒中もしくはTIAと診断されなかったかどうか尋ねた。 脳卒中の症状は; ・体の片側の突発的な筋脱力 ・突然の麻痺 ・原因不明の激しい頭痛 ・失明 ・言葉が不明瞭もしくは話せない 脳卒中やTIAの病歴のない人々と比べて、脳卒中のような症状を伴う人々は身体機能のスケールで5.5ポイントの減少があったことが、Howard氏のチームは分かった。彼らはまた、症状のない人と比較して、精神機能のスコアが2.7ポイント低かった。その違いはTIAグループ(0.5)や脳卒中グループ(1.6)で観察された減少より大きかった。 自分自身を表現したり、言語を理解することができなかったことがあると報告した人々は、現在の精神機能の損失が大きかった。 「私たちが分かったことは、これらの症状のある人々は、脳卒中だと診断されたことがなくても、実際にクオリティ・オブ・ライフ(生活の質)においてかなりの損失があることでした」と、Howard氏は話す。 ・認知症のリスクの増加 ささやく脳卒中を伴う患者はすぐに回復し、その症状はしばしば報告されずに終わる。それでも、脳に傷があると、トロントのSunnybrook Health Sciences Centreの神経学者のSandra Black博士は言う。 「それらは無害ではなく、人々の正常な活動をする能力に影響を及ぼします」と、彼女は話す。 「それらは次の4、5年間で脳卒中のリスクの増加や、認知症のリスクの増加を予見します。それは、これらの人々が気づかなくても、活動性疾患があるということを、私たちに語っています」 Black氏は、脳卒中のサインを突然経験したら、その症状が良くなってもならなくても、受診すべきだと語る。 「あなたはこれらの短命な神経症状を真剣に受け止めなければなりません。私は『私がめまいを感じたり、頭痛がしたり、気分が悪い』ことについて話していません。「私は、人々が適切に話すことができなかったり、理解できなかったり、混乱しているように見えたり、一時的に麻痺する症状について話しています」 医師も真剣にこれらの症状の報告を受け止めるべきである。 「患者が来て、『先週、私は自己表現することができませんでし た。今は大丈夫です』と言うなら、それは逃してはいけない重要なことを示しているかもしれません」 Heart and Stroke Foundation(心臓及び脳卒中財団)のMichael Hill博士は、軽度の神経学的症状が脳卒中のサインでないことが何回もあると話す。「けれども、高血圧や糖尿病にかかっていたり、あるいは喫煙者であれば、あなたはリスクのある人です。また、神経症状があれば、その後、脳卒中につながる傾向が高いので、注意しなければいけません」と、彼は語る。 高血圧や高コレステロールは、脳のような主要な器官まで血液を運ぶ血管を弱めることによって、脳卒中のリスクを非常に増加させる。弱められた脳の血管は破れて、脳卒中を引き起こす。 鍵は、ささやく脳卒中を持っていた人に、彼らが心血管疾患を有し、ライフスタイルを変える必要があることを意識するようにすることであると、Black氏は言う。 「もし人々にもっと意識してもらうことによって未来を変えることができ、何かが脳を傷つけるかもしれないということをもっと真剣に受け止めることができるなら、彼らは自分の血圧をコントロールし続け、運動し、コレステロールをコントロールするためにさらに動機づけられます」と、Black氏は語る。 (CTV.ca - 2007年8月2日)