ヨーロッパの研究で、1杯でもワインもしくはビールを毎日飲めば、腸癌になるリスクが約10%高くなることが分かったという。そして、そのリスクは、アルコールをたくさん飲むほど高くなる。例えば、1日に30g以上のアルコール(強いラガーで約1L)を飲むと、リスクは25%増加する。 この研究は、約50万人が関与し、デンマーク、フランス、ドイツ、ギリシア、イタリア、オランダ、スペイン、スウェーデン、英国出身の研究者たちを含み、International Journal of Cancerの早期オンライン版で発表されている。 研究者たちは、1992年〜2000年の間に癌及び栄養におけるヨーロッパ予測調査(EPIC)の研究に登録した時に癌ではなかった47万8732人の被験者の記録を調べた。被験者たちは平均6.2年間追跡調査され、彼らのうち1,833人が結腸直腸癌(CRC)を発症したことが分かった。 全被験者は登録時にアルコールの消費量についてアンケート記入し、生涯消費実績も彼らの69%の人に有効だった。 研究者たちが生涯アルコール消費量及びCRCの発症との関連性を分析すると、次のことが分かった。 ・生涯アルコール消費量は明らかにCRCのリスクと関係があった。 ・危険比率計算はアルコール消費量で1日に15g増える毎にCRCのリスクが8%増加を示した。 ・リスクは、直腸癌(アルコール1日15g当たり12%の増加)の方が、リスクは遠位結腸(8%)及び近接結腸(2%)癌よりも高かった。 研究者たちは、登録(基準)時の一日アルコール飲料消費とCRCのリスクとの関係で同様の結果が分かった。 ・1日にアルコール20〜39.9gのビールを飲む人は、毎日ごく少量(0.1〜2.9g)飲む人と比較して、CRCのリスクが38%高かった。 ・1日にアルコール20〜39.9gのワインを飲む人は、ほとんど何も飲まない人と比べて、CRCのリスクが21%高かった。 ・毎日同じアルコール量のワインを飲む人でCRCのリスクは低く現れたが、統計的に有意な差が見つからなかったと、研究者たちは述べた。 もう1つの興味深い結果は、アルコール消費量と腸癌との関係における食事の効果だった。 結腸直腸癌のリスクは、葉酸の少ない食事をする人で非常に高かった。(基準でアルコール摂取が1日15g増えると13%リスクが高くなるのに比べて、葉酸の多い食事の人では3%のみだった) 葉酸はまた、ビタミンB9の水溶性の形で、豆やレンズ豆のような豆類の食物や、ヒマワリの種などの種子と同様に、ホウレン草やカブラ菜などの緑色の葉菜の中に存在している。肝臓もまた、栄養強化された穀類がそうであるように、豊富な源である。 研究者は、以下のように結論づけた。 「この大きなヨーロッパの集団では、生涯及び基準アルコール消費量の両方が、結腸及び直腸癌の危険を増加させます。それは、1日30gより多いアルコール摂取でリスクの増加が明らかです」 女性で結腸直腸癌の生涯のリスクは18人中約1人で、男性では20人中1人である。Cancer Research UKによると、結腸直腸癌の症例が新しく毎年3万件以上、イギリスで診断される。 腸癌の生涯のリスクは、男性で20人中1人で、女性では18人中1人である。 Cancer Research UKの疫学者で、英国オックスフォードの癌疫学部の次長のTim Key教授は、この研究で、以下のことが実にはっきりと分かったとBBCに語った。「あなたが飲むアルコールが多ければ多いほど、腸癌のリスクは高くなります」 「リスクの増加は大きくはありませんが、人々がアルコールを控えることによって、腸癌など、多くの異なる癌のリスクを減らせるということを理解することは重要です」と、彼はつけ加えた。 (Medical News TODAY - 2007年7月31日)