アルコールに依存する女性は、男性よりも早く、潜在的に重篤で不可逆的な脳の損傷が生じることが、新しい研究でわかったという。 アルコール依存の病歴が短く、全体としてそれほど飲まなくても、この研究における女性のアルコール中毒患者は、メンタル・パフォーマンス・テストを行うと、男性より精神的損傷の証拠を多く示した。 「私たちは、アルコール乱用に関連する肝障害や心臓障害、循環器系の問題が、女性においては少ない消費量で、早く起こることが分かっていました」と、研究者のBarbara Flannery, PhDはWebMDに語る。「私たちは今や、精神機能に対しても同じであることを知っています」 ・記憶、思考の損傷 政府の数字によると、米国の女性の大体3人に1人、2.3%(250万人の米国女性)が定期的にアルコールをたしなむと報告され、アルコール依存の評価基準を満たしている。 長期のアルコール乱用は文字通り、いくつかの脳画像研究で、学習や記憶に関する脳の領域を萎縮させることが分かっており、少なくとも1つのグループの研究で、女性の方が男性よりこの作用に対して感受性が高いことが分かっている。 新たに報告された研究(ロシアで行われた)で、アルコール依存症の78人の男性と24人の女性、そして依存症でない68人を対照グループにして、記憶や意思決定、問題解決など精神機能の面を測定する一連のテストで比較した。 この研究の被験者たちは18〜40歳で、アルコール依存症の人の平均年齢は30〜33歳だった。 誰も驚かないことに、アルコール依存症でない人はアルコール中毒患者より全体的にみてテストで良い結果を出した。驚くべきものことに、女性のアルコール依存症患者が一般に、作業を実行するのに時間がかかり、男性のアルコール依存症患者よりテストの成績が悪かった。 女性のアルコール依存症患者が、男性のアルコール依存症患者より平均で3歳若かったという事実にも関わらずにである。彼女たちはまた、飲酒が平均で4年少なく、アルコール依存も2.5年少なかった。 「全体としてアルコール中毒の思考の過程における有害な影響を知っておく必要があることは明らかですが、私たちはまた、性差を認識する必要があります」と、Flannery氏は話す。 ・微妙な変化 この調査結果はまた、アルコールの乱用が徐々に脳機能に影響を与えることを明らかにしていると、ノースカロライナ大学精神医学の教授であるJames C. Garbutt, MDはWebMDに語る。 「何年ものアルコールのひどい乱用が認知症を引き起こすことが分かっていますが、このことは、少ない年数乱用をした若い人で起きる脳障害がそれほどひどくないことを私たちに語っています」と、彼は話す。 アルコール中毒でない人で中〜深酒をすれば同様の認知機能低下につながるかどうか調べる余地があると、彼は言う。 Garbutt氏はアルコールの研究のためのUNC's Bowles Centerの研究科学者である。 「ともかくこの結果がアルコール中毒と診断された人々に限定されると信じる理由はほとんどありません」と、彼は語る。「問題は『認知障害と関連するアルコール消費の境界があるか?』です。私たちにはまだその答えがありません」 (WebMD - 2007年4月23日)