70万人以上の患者で行った研究のレビューによると、心臓病の危険性を減少させる効果があるとみなされた魚油は、おそらく癌を予防しないだろうという。 研究者たちは30年にわたって患者を追跡調査を行った38件の研究データを調べたところ、オメガ-3脂肪酸にほとんど癌予防がないことがわかったという。いくつかの研究で、乳癌や前立腺癌、肺癌のリスクの減少が幾分みられたものの、それらの研究は、比較的小規模で決定的ではなかったと、この研究論文の代表執筆者であり、Rand社とGreater Los Angeles Veterans Affairs Healthcare Systemの研究者である、Catherine MacLean博士は話す。 「オメガ-3脂肪酸には他に健康上の効果がないというわけではなく、ただ癌のリスクを減らさないというだけです」と、MacLean氏は語る。 しかしながら、このレビューが、この問題に関する最後の言葉となるとはかぎらない。食餌療法が癌において役割を果たすことが知られており、研究者たちは観察的研究を評価し、それはたいてい情況証拠を提供する。 見直された研究は、魚油を、錠剤と食事の両方で、11種類の癌(乳癌、大腸癌、肺癌、前立腺癌など)において行われた。 この38件の研究は非常に雑多なもので、異なるグループで行われ、魚油の消費量も異なるので、魚油が癌の危険性を減少させるかどうか、決定的な結論を提供するものではないと、Harvard's Brigham and Women's HospitalのJulie Buring氏(この研究には関わっていない)は語る。 「可能性があるかどうかは言えません」と、Buring氏は話す。「言えることは、今この時点で私たちにはわからないということです」 この研究は、雑誌American Medical Associationで発表された。 オメガ-3脂肪酸は、サケや、イワシ、サバなどの、黒っぽくて脂身の多い魚に豊富に含まれる。それらは、主に心臓疾患を予防に役立つと考えられており、癌ではなく、American Heart Associationのガイドラインでは、心臓病の予防のために、1週間に魚を少なくとも2皿勧めている。 いくつかの研究では、魚油が心血管機能を改善し、トリグリセリドと呼ばれる血中脂質の濃度が下がった。 いくつかの動物研究で、また、魚油も癌の危険性を減少させるかもしれないということがわかったが、人では証拠はそれほど明確ではなかった。魚の消費の多い、日本などの国ではたしかに癌の率が低いため、関係があるように思われる。 アメリカ癌協会は、部分的なタンパク質源として魚を勧める。というのも、赤身肉に多量に含まれる飽和脂肪をそれほど含まないためである。ある科学者たちは、飽和脂肪が、前立腺癌や大腸癌の危険性を増加させるかもしれないと考えている。 Colleen Doyle氏は、社会の栄養及び身体的活動のディレクターであるが、この新しい研究が「魚についての最終的なメッセージを変えないでしょう」としている。 心臓病は国(米国)の主な死因なので「魚は癌の危険性を減少させないかもしれませんが、それでも食事で取るのは重要です」と、Doyle氏は話す。 (Associated Press - 1月25日)