患者が心臓発作で入院するときにうつ病の症状があると、次の5年生存を少なくするようであると、カナダの研究者は報告する。しかしながら、長いうつ病歴は、生存にほとんど影響を与えないようで、生存率の増加に関連してさえいるかもしれない。 そしてヨーク大学のSherry L.Grace博士やトロントの研究仲間たちは、1997〜1999年の間に心臓発作か狭心症に罹ったことのある患者を750人募集した。患者には、2週間以上憂うつな気分になったことがあるか尋ね、現在のうつの症状を評価した。 計446人の被験者は、過去に憂うつになったことがなく、現在もうつ病ではなかった。また、130人の被験者は憂うつになったことがないものの、現在のうつ病の検査で10点以上だった。これは、中程度から重いうつ病の症状があることを示すものである。 アメリカの心臓病学という雑誌における研究者たちの報告によると、5年間の追跡調査の間に115人が亡くなったという。 死亡率は、うつ病歴のない人で最も高かったが、現在のうつ病のテストのスコアで少なくとも10〜24%であった。 「イベントのあった時点のうつ病は、心臓発作を起こすための反応であるわけではありませんし、見落とされるべきものではありません」と、Grace氏はロイター・ヘルスに話した。「医師は、患者にうつ病の検査を行い、治療の対象とする必要があります。というのは、うつ病は5年後までの死亡率を上げることが予測されるからです」 現在の少しのうつ病の症状がある人に関しては、うつ病歴に関わらず、死は約15%の患者で起こった。死亡率は、うつ病歴があるものの現在症状のない人で最も低く、6%だった。 Grace氏は、これらの調査結果が彼女のチームが仮定したことと正反対であると述べた。 「これらは、うつ病歴のある人々が、自身でうつ病を克服する方法を学んだことを示唆します。したがって、この生命を脅かす出来事があったとき、彼らは心臓発作や病院での経験そのものに対処するのが上手でした」と、彼女は話した。 わずかな被験者だけが、抗うつ薬の薬物療法を受けていたか、あるいは過去に精神療法を受けていたと、彼女は続けた。「つまり、人々が自分でうつ病に対処するか、または家族や友人から社会的なサポートを得ているということであるかもしれません」。 どういうメカニズムであっても、Grace氏は、自身のグループの研究結果が「今後の研究を求める」ものであると信じている。 (ロイター - 11月29日)