肝臓の損傷によって生成された分子の血中濃度が高くなると、心臓病や卒中のリスクもまた予測されるということが、オーストリアの研究でわかった。 ガンマ・グルタミル・トランスフェラーゼ(GGT)と呼ばれる分子の濃度が高くなると、その上がり方がゆるやかであっても、男性では、低い濃度よりも、心血管疾患で死亡するリスクが28%高かったと、Circulationの9月27日号で報告された。高濃度の男性では、68%さらにリスクが高かった。女性では、リスクが35%〜51%の範囲で増加したことがわかった。 この研究は、高いGGT値とアテローム性動脈硬化症につながりがあるというイタリアの報告に対する追跡調査として行われたと、研究論文の著者で、Innsbruck Medical Universityで医学統計の助教授であるHanno Ulmer氏は発表した。アテローム性動脈硬化症は心臓病や卒中につながる「動脈硬化」である。 Ulmer氏たちは長期間にわたる健康監視プログラムで、16万4000人近くのオーストリア人の被験者のメディカル・データを使用した。11年以上の追跡調査によって、高いGGT値は、高い血糖値やコレステロール値よりも、心血管障害による死亡の予測をするのに良いことがわかった。しかし、喫煙や高血圧という2つの他の主なリスク要因ほどには、良くはなかった。 GGTの血液検査は、肝臓機能をモニターするのに広く使用されている。例えば、多くの医師が定期的にコレステロール降下剤のスタチン類を服用する人々に行う。副作用で、肝臓の損傷が起こりうるからである。しかし、「肝機能を示すという役割を超えて、GGTは心血管疾患をまさに予測しうるでしょう」と、Ulmer氏は話す。 Ulmer氏は、GGTが心血管疾患に対するマーカーであるのに、2つの理由が考えられると言う。1つはそれが動脈への一般的な損害を表すということである。かわりに、深酒で血管に与えるダメージを示すかもしれない。 オーストリア人の研究者たちは、被験者のアルコール消費に関する情報がなかったため、深酒が高い値になった唯一の原因であるという可能性を除外することができなかった。 GGT検査の値が心血管へのリスクの評価を決定するために、さらなる研究が必要であると、Ulmer氏は話す。それは「主要なパラメタとして、今後の心血管介入の研究に、含まれているべきである」と、彼は言う。 より多くの研究が必要であると、Harvard Medical Schoolの薬学の教授であり、米心臓病協会のスポークスウーマンであるJoAnn Manson博士は同意した。彼女は、「もし他のバイオマーカーや、心血管系のリスクを除外するなら、GGT値が独立した指標であるかどうかは明らかでありません」と話した。 (HealthDay News - 9月27日)