米食品医薬品局(FDA)によると、
抗うつ剤によって、大人でも自殺衝動が増加するとのことで、
服用の際には症状の悪化など慎重に監視するようにと警告を出したという。
http://news.goo.ne.jp/news/kyodo/kokusai/20050702/20050702a3660.html
すでに子供に対しては知られていることだったが、
大人でも、こういう結果になるのは十分予想できたことかもしれない。
というのも、そもそもうつ病というのは、
一番症状が重い状態のときは、
何をする気力も起きない、いわばエネルギー枯渇状態なので、
自殺する気力も当然ない。
しかし状態が良くなりかけた頃、少しエネルギーが蓄えられつつある頃が、
自殺企図の恐れが生じ最も危険なのである。
だから薬のせいで、というよりも、
これがうつ病の特徴であるといってもいい。
そして、このときこそ、家族や周りの支えが最も必要なときである。
周りの人たちも大変だろうが、
本人が一番つらいので、
あるがままを受け止めて、
できれば、そっと抱きしめてあげてほしいと思う。
一方、トム・クルーズが失言をしたというニュースを見つけた。
http://www.cnn.co.jp/showbiz/CNN200507020016.html
トム・クルーズは、知る人ぞ知る「サイエントロジー」という新興宗教
(精神療法に関する応用宗教哲学らしいが、
フランスではカルトに指定されている)の信者である。
この宗教、私はどんなものか知らないのだが、
どうやら、薬をのむことを禁じているらしい。
ブルック・シールズが産後のうつ病に罹り、
抗うつ剤を服用していることを非難したという。
精神医学はエセ学問だとして、ビタミンの摂取や運動をするよう主張したとか。
これに対し、ブルック・シールズは、
抗うつ剤を服用したおかげで良くなったのだと反論。
やはり実際に体験したことのない人にとっては理解できない病気なのだろう。
たしかにビタミンの摂取や運動も大切だが、
それができないくらいひどい症状の人も多い。
そもそも、うつ病というのを分かっていない。
薬が全てではないが、
薬の助けを借りて、日常生活が少しでもうまく送れるようになればいいだろうし、
また、他の療法とも組み合わせて相乗効果を狙うこともできる。
社会的に影響力のある人間に、薬をのむな、などと誤った情報を広められるのは、
迷惑きわまりないことである。