研究者たちは、新しい抗生物質を掘り出し、それが病院を悩ませている危険な細菌2種に対する強力な兵器になるかもしれないと報告する。 南アフリカの土から発見されたこの抗生物質は、ヒトで試験されていないため、薬局棚の上に現れるのは何年も先である。それでも、研究者たちは、2000年以降特にこれに類した薬物が他に発売されていないので、多くの可能性があるとしている。 既存の抗生物質に対する耐性を獲得して、一般社会にこっそり紛れ込み始めている数種の細菌がある。1つはメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)として知られているブドウ球菌の感染症で、病院の器具や、公共で皮膚感染から肺炎を引き起こす。もう1つはバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)である。 「結局これらの細菌はみな、私たちが現在有する化合物に抵抗力を持つようになるのは、まさに必然の過程です」と、研究論文の著者であり、メルク研究所のsenior scientistのStephen Soisson氏は話す。「それはじわじわ迫ってくる世界的に大きな健康上の問題です」 新しい抗生物質を探して、Soisson氏らは天然物(世界中の土や葉のかけらのサンプルなど)から25万もの抽出物を調べた。彼らは、南アフリカの土のサンプルに、探しているものを見つけたかもしれないと考えている。 研究者たちは、土の中で発見された物質から得られた抗生物質のテストを行った。ネイチャーの5月18日号で、この研究結果を報告している。 マウスにおいて、platensimycinとして知られている抗生物質は、MRSAとVREの両方に打ち勝った。明らかに、この抗生物質は、細胞が重要な脂肪酸を合成するのを混乱させることによって作用を表している。 Frank Myers氏(サンディエゴのScripps Mercy病院の臨床の感染症疫学者)は、platensimycinに関する調査結果が「非常に励みになっている」とし、この薬物は医師にとって、特に入院中にMRSAに関 連する肺炎を発症した患者の治療に、もう1つの治療のオプションとなりうると語った。これらの症例は特に治療が難しいと、彼は話す。 けれども、Myers氏は、警告があるとつけ加える。感染症の専門医は、細菌が新しい抗生物質に対する耐性を獲得するかどうか、また健康な細菌を殺して、下痢性の病気になるかどうかを知りたいと考えるだろう。 さらに彼は、医師たちは、最も恐ろしい症例以外では、抗生物質に対する耐性を獲得しないように、platensimycinを使用することに慎重になるかもしれないと話す。 (HealthDay News - 5月17日)