DuPon社内部の書類や元従業員によると、DuPon社はキャンディーの包装やピザの箱、電子レンジ用のポップコーンバッグなど、何百もの食品容器に使用されるテフロン関連の化学物質の危険性を示す研究を隠したという。
化学物質Zonylはその製品から溶出して食物に入る。ひとたび人体に入ると、PFOA(テフロンでコーティングされた調理用品の生成に使用される化学物質)として知られるperfluorooctanoic acidとその塩類に分解する。
環境保護庁は、PFOAをヒトの発癌物質に「なりうる」として、分類するかどうか決めようとしていた。水曜日の夜にDuPon社によって発表された文書では、食物中の化学物質PFOAの安全性をモニターし続けていると、食品医薬品局(FDA)は話した。
DuPon社の書類は水曜日にEnvironmental Working Group(研究及び擁護組織)によって公表された。
同時に、DuPon社の元化学技術者のGlenn Evers氏は、EWGのオフィスでの記者会見で、会社が長い間化学物質に関する研究を抑圧したとレポーターに話した。
「それらには毒性があります」と、Evers氏は化学物質PFOAのことを語った。「人の血液中に入ります。そして、あなた方皆の中にも入っています。あなたの愛する人たち、あなたの仲間たちにも」
1981年から2002年まで、Evers氏は、DuPon社が新製品を開発することに携わっていた。2002年にDuPon社が行った企業再構築で、彼は職を失った。
Evers氏には、異なった視点があった: 彼が化学物質の安全性についての心配を言い始めたために「DuPon社が私を会社から追い出したと信じています」
Evers氏は、デラウェア法廷で今月、DuPon社に対して民事訴訟を提出した後、PFOAの問題に関して公的に話すことを決めたと話した。Evers氏の目的は主に、化学物質や彼自身の職歴に関する「記録を直す」ことであると、Evers氏の弁護士であるHerb Feuerhake氏は言う。
しかし、Evers氏はまた、DuPon社がPFOAや催奇形性に関する研究をEPAに提出しなかったかどうかに関して、今月下旬のEPA公聴会の結果に影響を及ぼすことを望んでいると話す。この会社に何百万ドルもの罰金を課すことができるかもしれない。
EWGが、DuPon社に対する2件の訴訟で、無報酬で専門的な証言をしたEvers氏を捜し出すと、その47歳のデラウェアの住民は聖職者と論議したと話した。その聖職者は「'You can't dance with the devil.'」と彼に語ったという。
DuPon社は、PFOAが健康上のリスクを引き起こすという主張を否定したと、消費者に対してその製品を承認した食品医薬品局は言っている。
「消費者の使用に対して、これらの製品は安全です」と、会社は声明で発表した。「1960年代後半以降、FDAは消費者使用に対して、これらの材料を承認していますし、DuPon社は常に、これらの製品に関して、すべてのFDAの規則や規格に従っています」
会社は、Evers氏が「DuPon社で働いている間、PFOAの問題にほとんど直接的な関与をしていません...Evers氏はFDAの調査結果に反して、不正確で個人的な意見を広範囲にわたって述べたとして、DuPon社は強く反論します」と話した。
その環境グループは水曜日に、DuPon社がスポンサーの研究の内部コピーをFDAやEPAに提出した。それは、Zonylの危険性が、政府の知っている以上に高く、食物中に移行することを示している。
書類の1つは、1987年のメモで、この化学物質がコーティングした紙から離れて、1967年にFDAが制限した値より3倍も高いレベルで食物に移ることを示す研究室の検査を引用している。 もう1つの書類は、Zonylを90日間ラットやイヌにエサで与えた1973年のDuPon社の研究で、どちらの動物も腎臓や肝臓に貧血と損傷を有していたと書かれており、イヌには、コレステロール値が高くなっていた。
EWGのRichard Wiles副社長は、「さらに悪いことに、DuPon社は、この時、PFOAなどのZonylの分解物が食物中に含まれ、それが環境中にいつまでも残留し、DuPon社の女子社員に生まれた赤ん坊の臍帯血を含み、人の血液を汚染していたことを知っていたということです。」とFDAやEPAの職員に書いた。
Wiles氏は、DuPon社がこの研究結果を提出しなかったことに対して罰せられるべきかどうかを決定するように政府機関に依頼した。昨年、環境グループが入手した別のDuPon社の書類に基づいて、EPAは、この会社が20年以上もの間ずっと、PFOAに関する必要なデータを提出してこなかったと申し立てた。この書類はPFOAと奇形児の誕生との間の関連性を示唆する研究に言及している。
EPAのスポークスウーマンのEryn Witcher氏は、水曜日に政府機関が「PFOAの元になるものや、どのようにして公衆が曝露されているのか、またこれらの曝露が健康上の潜在的なリスクがあるのかどうかについて調べるために、大規模な試みがなされているところです」と話した。
Evers氏の心配を公表するという彼の決心は、既にインパクトがあったかもしれない。
8月に、彼は、3ヵ所すべてのDuPon社の米国工場が、「大量の」ダイオキシンを放出していると、ミシシッピー法廷で語った。ダイオキシンは、ヒトで癌を発症する危険性があるということが、EPAの研究でわかっている有機化合物の一種である。このケースでは、カキの漁師が、DuPon社の工場のダイオキシンのせいでまれな血液の癌になったとして、実質的損害賠償金の1400万ドル支払われ、彼の妻は1500万ドルを受け取った。
彼はまた昨年、ウエスト・ヴァージニア州のケースで、DuPon社は集団訴訟の和解に同意して1億760万ドル支払った。ウエスト・ヴァージニア州のパーカーズバーグ近くの工場の周りに住む住民たちは、PFOAが飲料水の供給を汚染したと言う。DuPon社はさらに、50億ドルを求めるPFOAに関する別の集団訴訟が残っている。
(Associated Press - 11月16日)
* EWG = Environmental Working Group
* EPA = Environmental Protection Agency
ここで言う水曜日というのは、おそらく11月16日のことと思われる。
はたして日本の製品は大丈夫なのだろうか?